ラボ・カフェ・ズミ「Laboratory Café dzumi」 a.k.a.サウンド・イメージ研究所 |
セゾン系広告代理店I&S BBDOを定年退職した泉秀樹さんが、何を思い立ったのかカフェを始めたのだ。名前は、ラボ・カフェ・ズミ「Laboratory Café dzumi」。泉さんは、フリージャズ、即興音楽、現代音楽だけではなく、美術やフランス思想にも造詣が深い。若い頃(1960年代)、知る人ぞ知る草月アートセンターに勤務していたのだから筋金入りである。
ラボ・カフェ・ズミは、こじんまりとしているが、昼間は明るく、井の頭公園の緑を眺めながらコーヒーを飲むのはさぞかし気持ちよさそう。それだけなら普通の喫茶店なのだが、そこには大量のLPと素晴らしいオーディオ装置が。では、明るいジャズ喫茶かというとまた違う。普段はお話が楽しくできる音量でしかかけません、とのこと。
では、なぜ大量のLPを運び込んだのか。そこを「サウンド・イメージ研究所」にしようという目論見もあるのだ。60年代の前衛達とその後継者、クリエイテヴ・ミュージックのアーカイヴとそれを研究する未来志向な場にしていきたいという野望がチラと見える。確かに若い世代には、そういった音楽に関する情報はキチンと伝わっているとは思いずらいし、そこそこのトシになった我々の世代も知っているようで知らないことは多い筈である。音楽はいくらコトバで語っても百読は一聴にしかずの世界。なにやらレクチャー?カフェ・トーク?with LPsもプランしているようだ。
プレ・オープンのお祝いで訪ねた時、そこで聴いたLPの音が良かったので、うちでも久々にLPを出して聴いてみた。オーディオ装置は天と地ほど違うが、うちのオンボロ?GARRARDだってまだまだ現役。CDと違って疲れないので、何枚でも続けて聴ける、聴ける、聴ける。ジャズファンに戻った気持ち。そして、去年の夏のある日の出来事を思いだした。
外では朝早くからマンションの近くの木々を根城にしている蝉たちが「ミーン、ミンミン」とうるさい。でも、気持ちの良い午前中だったので、LPを数ヶ月ぶりにターンテーブルに載っけた。午前中からLPを聴くなどということも滅多にないことである。しばらく心地よく聴いていたら、急に間近から蝉の声が。これじゃあ、せっかくのリスリング・タイムが台無し。何事が起こったのかとベランダを見たら、テーブルの上でも椅子の上でもなく、私のサンダルに蝉が陣取って「ミーン、ミンミン」とLPに求愛?している。
CDは可聴範囲(と思われている?)の音波以外はカットしている。しかし、アナログLPは違う。もしかすると私の耳ではキャッチできないオトを蝉君は聞いて反応していたのか?LPを止めたら、瞬く間に静かになった。現金なものである。サンダルの上の蝉はもといた樹に戻ったようだった。
そんなこんなを思い出しながら、LPを聴くという体験のためにラボ・カフェ・ズミにフラリと立ち寄るのも楽しいのではと思う。コーヒーやワインもあることだし。
そういえば、少し前にドイツ在住のピアニストTA女史と雑談していたら、「LPっていいわよー。作れるならシュミ?でLPで出したい」などという。すっかりハマっていた。
新しいもの好きの私だが、なぜかアナログを愛する変な性質がある。写真もまた然り、なのだが、その話しはまたの機会に。
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サウンド・イメージ研究所 Laboratory Café dzumi ラボ・カフェ・ズミ
住所:武蔵野市御殿山1-2-3キヨノビル7F 地図はコチラ>>>
営業時間:14:00~21:30
定休日:月曜日