横井一江のブログ "jazz,improvised music...and beyond"


by kazuey1113
「生涯のミュージシャン10人」というアンケートが回ってきたことがある。10人なのだが、あれこれ考えこんでしまった。一人だったらどうなのだろう。あるいは生涯のアルバムという問いだったら。やはり「うーん」と考え込んでしまう気がする。

しかし、日本人の写真家で誰が一番好きかという質問には躊躇なく答えられる。2月6日に90歳で亡くなった石元泰博氏だ。もちろん他にも好きな写真家はいろいろいる。しかし、石元氏の写真が一番自分の感性にフイットするのだ。

訃報を知った後、彼の写真集の幾つかをもう一度引っ張り出して見た。目が洗われる。『シブヤ、シブヤ』もその一冊。ノーファインダーで渋谷の交差点界隈を行き交う人々を2003年から2006年にかけて撮った写真集で、そのほとんどは若者の後ろ姿なのだ。Tシャツの絵や服やバッグの絵柄やカタチが面白い。被写体との絶妙な距離感に圧倒される。2007年、三田のギャラリーへその写真展『シブヤ、シブヤ』を観に行った時に老獪にしてフレッシュと感じたことを思い出した。写真集の最後のページにある一枚には、女性の背中に自身の頭部がくっきりと影として写っている。影は飄々としているようで眼力の鋭いその姿を表しているよう。渋谷という街で行き交う若者からエネルギーを吸い取っていたのではないか、などということも考えてしまった。シカゴで撮った写真も見たい。しかし、コレクターズ・アイテムになっている『シカゴ、シカゴ』は入手困難、あっても十数万円というから…。

私は写真批評というのはほとんど読んだことがないが、石元氏の写真における造形性とかモダニズム、構図の素晴らしさ、あるいは社会を見る視線について、写真評論家などがいろいろ書いているのだろう。もちろん日本の戦後写真の草分けということも。だが、私がいちばん凄いなと思うのは、これはという瞬間には既にシャッターを押しきっているところだ。それがまた完璧な構図なのだから。たぶん無駄な動きのほとんどない人だったのではないかと想像する。

彼はうちからごく近いところにお住まいだったようだ。いつだったろう。目黒川沿いをコンデジ片手にお散歩している時、向こうからただならぬ雰囲気を持つカメラをぶら下げた老人とすれ違ったことがあった。もしかするとそれが石元泰博氏だったのかもしれない。合掌。
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by kazuey1113 | 2012-02-11 14:16 | misc.
c0098087_1921138.jpgジャズ・フォトグラファーとして、またファッション写真の世界でも名を成した写真家ウイリアム・クラクストンがロスアンジェルスの病院で10月11日に亡くなった。80歳だった。ジュリアン・ベネディクト監督によるドキュメンタリー映画『JAZZ SEEN カメラが聴いたジャズ』はクラクストンを追った作品。Pacific Jazzからリリースされたアート・ペッパー、チェット・ベイカーをはじめとする多くのLPはクラクストンの写真をジャケットに使用している。ジャズファンならそれとは知らなくても絶対に目にしたことがある筈だ。

クラクストンのオフィシャルサイトでその写真を見ることができる。コチラ>>>

Washington Postの記事はコチラ>>>
The Guardianの記事はコチラ>>>コチラ>>>
Los Angels Timesの記事はコチラ>>>
New York Timesの記事はコチラ>>>

(追記)
うちにあったDVD『JAZZ SEEN カメラが聴いたジャズ』を久しぶりに引っ張り出して見た。以前観た時に記憶に残ったシーンと同じところがやはり印象に残る。それは著名な写真家ヘルムート・ニュートンとクラクストンの会話。この二人の被写体との関わり方が対照的。どちらに共感を覚えるのかは写真との関わり方の違いによるだろう。私はライブだ!

誰かに趣味について聞かれた時、自分は「無趣味だ」と言ったら「ひとかどの人間はみんな無趣味だ」と言われたというニュートン。クラクストンも「自分も無趣味だ」と。ひとかどの人物でないと決まらないセリフ。こう言い切れたら格好いい、と思う。
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by kazuey1113 | 2008-10-17 18:56 | obituary

マリオ・ジャコメッリ

偉大な詩人と出会った時のような大きな印象を残し、先日会期終了した「マリオ・ジャコメッリ展」。それがNHK新日曜美術館で特集される。

5/25(日) NHK新日曜美術館 9:00-10:00(再放送:同日20:00-21:00)
この人が語る私の愛する写真家 辺見庸 私とマリオ・ジャコメッリ」 
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by kazuey1113 | 2008-05-23 07:41 | informaion

マリオ・ジャコメッリ展

c0098087_20195464.jpgイタリアの写真家、マリオ・ジャコメッリ展が開催される。その名を知らなくとも司祭達が踊っている写真などを目にしたことがある人も多いはず。今回はホスピスで老人達を撮影した代表的なシリーズから空撮した風景、そして晩年の作品まで、本邦初の本格的なジャコメッリ展となる。ハイコントラストのモノクロ写真のこちら側にいる被写体を凝視する眼差しは、画家のそれに通じるものだと私は思う。ゆえに職業写真家/商業写真家とならなかったことにも納得するのだ。詳しくはコチラ>>>

知られざる鬼才 マリオ・ジャコメッリ展 
3月15日~5月6日 東京都写真美術館 2F

同時期に東京都写真美術館3Fでは『シュルレアリスムと写真 痙攣する美』展、4月26日には巌谷國士の講演会「写真とシュルレアリスム」、4月20日には関連シンポジウム「シュルレアリスムの宇宙」も開催される。
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by kazuey1113 | 2008-02-16 22:02 | informaion

Point of Departure Issue 14

Point of Departure(PoD)の最新号(Isuue14)がアップされた。PoDは2005年9月にビル・シューメーカーが始めたオンライン・ジャーナル。アメリカのオンライン・ジャズ・マガジンにはAll About Jazzなどがあるが、PoDはそのような大規模なものではなく、リトル・マガジン的なものだ。しかし、フリー、インプロなど進歩的な音楽について書かれた貴重なメディアのひとつで、かなり評判になっている。今回の執筆者は発行人のビル・シューメーカーの他、アート・ランゲ、イタリア・ピサのフランチェスコ・マルティネリなど。

Point of Departure はコチラ>>>
オンライン・ジャーナルなのでバック・ナンバーも当然読める。

また、PoD最新号ではドイツのjazzprezzoから毎年発売される週毎にページをめくるブックタイプのジャズ・カレンダイアリー2008年版に50数枚写真を提供したパトリック・ヒンリーの写真&文章も掲載されている。彼はベルリンジャズ祭に毎年来ていて、行くたびに顔を合わせているが、昨年会った時もまだライカのフイルム・カメラで撮影していた。徐々にフイルム・カメラを使用するカメラマンが減っていくなかで、おそらく今年も一人だけ頑なにライカのフイルム・カメラで撮影するに違いない。数年前、日本特集の年のこと。ルイ・スクラヴィスのステージの後にシャッター音がうるさいと音楽監督ペーター・シュルツェから彼は文句を言われたそうだ。だが、本当の犯人は私のCANON。彼のライカより音がデカイのだ。その年フイルム・カメラで撮影していたのは私と彼の二人だけ。しかし、音楽監督といえどもシュルツェはシャッター音を聞き分ける耳は持っていなかったのである。それは私がフイルム・カメラを持参した最後の年でもあった。翌年、隣に座った彼からその話を聞かされて、「ごめんなさい」と謝った想い出が。その後はカメラ談義。Good Old Black&White Jazz Photoはやっぱりいい!

シューメーカーやマルティネリとは先日のコロンビア大のコンファレンスで一緒だった。人となりを知ると親近感がわくから不思議。きっと志向が似ているからだろう。こういう人達と知り合えたのもNYCでの収穫のひとつかもしれない。
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by kazuey1113 | 2007-11-01 20:18 | informaion

ハイリゲンダム

c0098087_7161159.jpg6月6日から8日にかけてドイツの保養地ハイリゲンダム近郊で行われたサミット。それに反対するデモ隊が会場付近の道路を封鎖するなどの騒ぎが起こったことは、日本でも伝えられた。私の友人のカメラマンDetlev Schilkeがその様子を撮影。彼のHPでその写真を見ることが出来る。ピエロなどに仮装したデモ隊と警察が睨みあう様子や線路を封鎖する人々などなど。TVの短い映像ではわからない人々のリアルな姿とその状況。国際政治もテレビのニュースの出来事などではなく日常であり、それに人々がコミットメントするというカルチャーの違いを感じる。コチラ>>>

このような写真を見るとなぜかメールスジャズ祭を思い出す。おそらくそこには大衆の生とパワーがあったからなのだろう。「前衛とは、大衆のエネルギーの集中的表現にすぎないのである」という花田清輝の言葉が甦る。

ちなみにDetlev Schilkeと出会ったのはベルリンジャズ祭の会場、十数年前のことである。ジャズ・ミュージシャンのとてもよい写真も沢山撮影しており、jazzpressoの2007年版ジャズ・カレンダイアリーは彼の写真が使用された。コチラ>>>
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by kazuey1113 | 2007-06-15 21:19 | informaion

魂 - Mick Rock meets 勘三郎

伝統を重んじながらもその枠を超えて活躍する歌舞伎俳優中村勘三郎を、1960年代からローリング・ストーンズをはじめとしたロック・ミュージシャンを撮り続けてきたミック・ロックが撮影した。これは一種の異文化コミュニケーションならぬ異なったバックグラウンドを持つ者のコラボレーション。このミック・ロックが平成中村座を撮影、ロック・スピリットで歌舞伎世界を捉えた写真展が3月30日にオープンした東京ミッドタウンで開催される。

会期:4月20日(金)~5月6日(金)
会場:東京ミッドタウン・ホールB
詳しくはコチラ

写真を撮影する者のしっぽの先にいる私としてはかなり興味津々。
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by kazuey1113 | 2007-04-10 20:28 | informaion
10月末から11月初めにかけて来日したICPオーケストラのフォト・ドキュメントがjazztokyoに掲載された。↓
http://www.jazztokyo.com/yokoi/v09/v09.html

写真は全て新宿ピットインで撮影したもの。沢山のお客さんが来ており、後ろのほうにいた人はミュージシャンの姿も見づらかったと思われたので、今回の記事は写真を多く乗せることにした。

来日にあたって書いた関連記事はこちら
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by kazuey1113 | 2006-11-25 23:19 | column
c0098087_216557.jpgかれこれ十数年前、ベルリンジャズ祭で知り合ったドイツの写真家Detlev Schilkeの写真を使用した2007年版ジャズ・カレンダーがjazzprezzoから発売されている。カレンダーといってもヨーロッパのアート・カレンダーでよくある週毎にページをめくるブックタイプのもの。写真も53枚掲載されている。ドイツ・アマゾンなどで購入可能。また、SchilkeのHPでは彼のさまざまな作品を見ることができる。
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by kazuey1113 | 2006-11-16 21:19 | new release