横井一江のブログ "jazz,improvised music...and beyond"


by kazuey1113

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ジャズ入門?

ジャズ批評から最新号「特集 ジャズ絶対入門」が送られてきた。その雑誌の意図、ジャズをもっと聴いてほしい、という気持ちはよくわかる。しかし、なにかがズレているような気がしてならない。そのわけは。

イマドキ、ジャズを教養としてその歴史云々をオベンキョウしながら聴こうという人って、どのくらいいるのかなということがひとつ。そしてまた、ジャズ初心者というけれど、ジャズになんとなく興味はある人でも音楽的嗜好やバックグラウンドは千差万別。それを一括りに「ジャズ初心者」にしていいのかなということ。

ジャズという音楽になんとなく興味があるという人は、他にいろいろな音楽を聴いてきた言わば音楽好きである可能性が高い。ならば、例えば「クラシック音楽ファンに薦める・・・」とか、「ヒップホップ・ファンに一押しの・・・」とか、それぞれの音楽ファンのための記事があってもいいのではないのかと思ったのだ。「ビ・バップと共にに生まれ、ドゥ・ワップと共に成長し、ヒップホップを生んだ」といったのはラスト・ポエッツだったけれど、そうしてみればヒップホップのルーツたるビ・バップを聴け、と言っても決して乱暴ではない。といった具合に。

ジャズ初心者には、聞きやすい、わかりやすいジャズを薦める、ということはわからないわけではないし、それが有効なターゲットもある。しかし、例えばハードコアな音楽が好きな人には、生ぬるい音楽よりもゴリゴリのフリージャズのほうが説得力があるかもしれない。また、岩浪洋三氏が「映画でジャズ入門」を書いておられたが、文学などの別の切り口もあるだろう。

ジャズは奥深い。それについての歴史云々といった蘊蓄は、ジャズ自体を素敵な音楽、カッコイイと思ってある程度聴いた上のことではないだろうか。いろいろジャズについて知れば、もっと違った側面から音楽が見えて面白いよ、楽しめるよ、あるいは知的好奇心が満足させられるよということは、ネクスト・ステップだろう。もっとも、そのような濃い記事も昨今はあまりないが。

ジャズファンとしての価値観に囚われてしまって、見えなくなっているのだろうなとも思う。音楽好きであることが裏目に出ているのか。マーケティングということはやはり必要だなと考える次第。どのようなターゲットにどのようなジャズをどのようにアピールするかがやはり肝要である。「特集 ジャズ絶対入門」も一捻りすれば、ありきたりのジャズ入門ではなく、面白い企画になったのだろうな、と思うと残念な気がしたのだ。
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by kazuey1113 | 2010-12-25 09:48 | misc.
トム・ウェイツがプリザベーション・ホール・ジャズ・バンドとのコラボレーションSP(78回転盤)を出したと少し前にブログで書いたら(コチラ>>>)、何人かの友人が反応した。同世代かやや上の人間にとっては、たいていの場合「トム・ウェイツ、なつかしいね~」といった具合なのだが、やっぱりこういう企画だと「78回転盤!欲しいねぇ~」となるのである。しかしながら、プリザベーション・ホールのお店では売り切れのようである(コチラ>>>)。ちなみにこれはプリザベーション・ホールのベネフィット・レコードだったのである。その曲が入ったCDは入手可能だが…(コチラ>>>)、やっぱりSP盤で欲しいよね…。

ニューオリンズで思い出したことがある。ベルリンジャズ祭40周年の2004年、アンバサダーズ・オブ・ニューオリンズが出演していた。しかし、それは通常のコンサートではなく、開演前や休憩時間に会場のロビーからステージをパレード。その会場はベルリンフィルの牙城フィルハーニー。ヨーロッパではクラシック・現代音楽を上位の芸術音楽とみなすヒエラルキーがある。その象徴的建物でさえある場所でそういうことをやるとは。そのアイディアに拍手!だったのだ。

ニューオリンズがジャズ発祥の地というのはもはや神話に過ぎなく、プリ・ジャズ的な音楽は同時多発的にあちこちで起こっていたというのが今では定説だけけれども、やっぱりニューオリンズには言い難い魅力を感じるのだ。ニューオリンズに行けば、きっと違うアメリカに出会うのだろう。果たして行く機会はあるのかないのか…
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by kazuey1113 | 2010-12-25 08:57 | informaion

「女子ジャズ」って何?

先月のことである。忙しい最中にジャズ批評から送られてきたアンケートを依頼する手紙の中に、「今年は女子ジャズ元年で…」とあった。女子ジャズ???映画「スウィング・ガールズ」がヒットしたのは数年前であるが、女性がジャズを演奏するのがブームになっているのか???気になったのでググってみた結果、それは女性向けのジャズガイド本『Something Jazzy』出版とタイアップして、タワーレコードが行った女性をターゲットにした「聴き方」を提案するキャンペーンからきたものであることがわかった。そしてそこに、セレクトショップの発想があるなと思った。

考えてみれば、CDを買うのはネット通販ばかり、それもアマゾン以外は海外やマイナーなディストリビューターだったので、このような現象が起こっていることすら知らなかった。たまにはCDショップにも行かないといけないな、と少々反省。

このキャンペーンについて書かれた日経トレンディの記事(コチラ>>>)などを読んで知ったのは、レコード業界の人たちは女性(特にF1)にジャズCDを売りたいとは思っていても、これまでこのような切り口があることに全く気がついていなかったということ。このようなキャンペーン方法は、女性をターゲットに商品を販売する時の定石で、それもただやっただけでは駄目なので、女性達のココロを掴むためにみんな知恵を絞っているのである。それに気がつかないとは、いかに業界人が「音楽が好き」な人たちの集まりで、一般的なビジネス感覚に欠けていたのかということだ。そこには少なからぬ甘えの構造があるように思う。

私自身は、きっかけはなんであっていいと思っているので、「女子ジャズ」からジャズを聴き始めた人たちのうちの数パーセントでも表層的なブームが去った後も日常的に音楽を楽しむようになってもらえれば嬉しい。それは、評論家・ライターや業界人のこれからの仕事にもよるだろう。オジサン方も少々発想転換すべきである。

しかし同時に、「女子ジャズ」は日本的な現象だな、とも思った。おひとりさまでもカフェには行くけれど、コンサートやライブでは(コアなファンは例外として)そのような人は少ない。「個」が確立していない日本ならではの受容のあり方が透けて見える。音楽がこのような紹介をされることは欧米ではあるのだろうか。「かわいい」という日本人女性特有の価値観にしても、ヨーロッパに住む人には奇妙なものに映るだろう。そこにはいつまでも大人になりたくない、大人(オバサンやオジサンではない)になれない日本人も見えてくる。

「女子ジャズ」でジャズCD購買層が増えたとしても、それが現在進行中のリアルなジャズシーンの追い風となるかどうかはまた疑問だ。コンサート/ライブに行くには、ジャズCDを買うのとはまた別の動機付けが必要になってくるからである。上手く「女子ジャズ」ファンをターゲットにプロモーション出来るかどうかが決め手となるだろう。

こんなことを書くと、それはメインストリームのジャズの世界のことでしょ、そんな広告業界的なやり方はクリエイティヴな音楽活動には無縁の世界だと言う人もきっと多いだろう。しかし、方法は違うにせよ、潜在的なリスナーをいかに掘り起こすか、いかにマーケティングをしていくかを考えていく必要性があることは確かなのである。ワイドレンジで物事を見れば、さまざまな事例が教えてくれることがあるだろう。このようなことは音楽関連書籍を読んだり、音楽関係者と話をしているだけではひらめかないような気がするが…。

個人的には「女子ジャズ」という現象はクリティカルに見てしまう。しかし、好き嫌いはともかくとして、それによって改めて気づかされたことがあったことは確かである。
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by kazuey1113 | 2010-12-18 13:34 | misc.

Point of Departure Issue 32

オンライン・ジャーナルPoint of Departure Issue32がアップされている。

表紙がランディ・ウェストンなのは彼の本『African Rhythms: The Autobiography of Randy Weston』が出版されたから。その一部が「The Book Cooks」で読める。

編集長ビル・シューメイカーのコラム「Page One」で取り上げているのはイグ・ヘンネマン。アート・ランゲのコラム「A Fickle Sonance」の冒頭にある写真のエアーの3人(スティーヴ・マッコール。フレッド・ホプキンス、ヘンリー・スレッギル)の若いこと。CDレビュー「Moment's Notice」は盛りだくさん。新譜情報としてタイトルチェックする価値あり。

Point of Departureはコチラ>>>
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by kazuey1113 | 2010-12-14 19:12 | informaion
11月にシカゴ大学アートスピークスの企画で、ジョージ・ルイスを迎えたイベントがマンデル・ホールであった。ジョージ・ルイス、アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハによるコンサート、ルイス、シュリッペンバッハにアーノルド・デヴィッドソンが加わったディスカッションが行われた。本当はエヴァン・パーカーも呼びたかったが、都合が合わなかったらしい。こういう企画が日本の大学でもあるといいのになと思った。そのイベントを紹介したページにビデオ・クリップやリンクが貼られていて、興味深いものもあったので。コチラ>>>

シカゴといえば、音楽関連書籍、資料や調べ物、お勉強としててではなく久しぶりに読んだ本は『スタッズ・ターケル自伝』。自伝というだけに、90歳を過ぎてから書いた本だが、「第24章 日常に慣れてしまうことの弊害」などでは憤懣やるかたなく、現代の問題点をつく。彼の最初の本はジャズについて書いた本『ジャズの巨人たち』だった(jazztokyoに書いたレビューはコチラ>>>)。どうもシカゴというと、ネルソン・オルグレンとか骨太の男達がつい浮かんでしまう。

もう少し怠けたい?というわけで、机の上にはエーコの『バウドリーノ』。
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by kazuey1113 | 2010-12-12 19:34 | informaion

建物の中

一週間ほど前にアップした写真を撮った建物の中。天井からつるされていたモビールを下から撮ったら、あのような画像に。
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from Kazue's iPhone
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by kazuey1113 | 2010-12-12 19:25

気分転換?

気晴らしに散歩に出かけた。いつもよりは少し遠くへ。立ち寄った建物の内部。面白かったので、手持ちのiPhoneで撮ったらこんな画像に。レタッチは一切していない。画像エンジンのなせる技。使い方によっては面白いが、カメラとは別物だね~。
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from Kazue's iPhone
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by kazuey1113 | 2010-12-05 09:35

いまどき78回転レコード

トム・ウェイツが、プリザベーション・ホール・ジャズ・バンドとのコラボレーション・レコードを78回転盤で出した。曲は"Tootie Ma Was A Big Fine Thing" と "Corrine Died On The Battlefield"

これはデジタル世界へのささやかな反逆なのか?!
大いなる遊びゴコロなのか?!

うちの年代物のガラードは78回転もOKだからと、こういうのを見るとつい欲しくなってしまうのはまだ蒐集家煩悩が残っていたから?

詳しくはコチラ>>>

そのSP盤がくるくる回っている画像がYouTubeにあった!コチラ>>>
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by kazuey1113 | 2010-12-04 10:07 | informaion

ジョルジオ・ガスリーニ

少し前になるが、ジョルジォ・ガスリーニにミラノ市からアンブロージョ金賞(AMBROGINO D’ORO)が贈られた。ミラノの守護聖人アンブロジウスの名前のこの賞はミラノ市に貢献した人に贈られる。イタリア・ジャズ界ではよく知られたマエストロで、世界中で公演をしているが、来日したのはイタリア年だった2001年ただ一度きり。その時のピアノ・ソロでは、サン・ラやアルバート・アイラーの作品などを取り上げていた。非常にインテレクチュアルでありながらも深いリスペクトに基づいた演奏、そのピアニズム、彼の美学が今でも耳のどこかに残っている。

詳しくはコチラ>>>

なんと授賞式の画像がYouTubeにあった。もう80歳を超えているが、お元気そうなのがなにより。コチラ>>>
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by kazuey1113 | 2010-12-04 09:53 | informaion
師走を先取りしたような慌ただしい状態が続いていて、jazztokyoが更新されていたのも忘れていた。今年最後の連載フォト・エッセイはサインホ・ナムチュラク。2006年にベルリン、トータル・ミュージック・ミーティングで撮ったショット。
コチラ>>>

久しぶりに会ったサインホ、フォト・エッセイで使った写真ではそうは見えないのだが、瀬戸内寂聴に似てきたなと思った。別の一枚を。
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イッキにいろいろ片付けたら、ド、ドッと疲れが出たのか風邪をひいてしまった。空気も乾燥しているし、みなさまお気をつけて!
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by kazuey1113 | 2010-12-03 08:13 | column