横井一江のブログ "jazz,improvised music...and beyond"


by kazuey1113

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jazztokyoの連載フォト・ドキュメントは追悼の意も込めて6月15日に亡くなったビル・ディクソン。本当は違う写真で入稿するつもりで準備していたのだが、急遽予定を変更。締切直前だったがなんとか間に合った。初めてベルリンジャズ祭に取材で行った1994年にトニー・オクスレー・セレブレーション・オーケストラで出演した時の写真(コンサートではなくサウンドチェック時に撮影したもの)。ビル・ディクソンもベルリンジャズ祭に出演したのはこれが最初だった。
コチラ>>>

縁は異なもの、である。たぶんベルリンジャズ祭に行こうと1994年の秋に思い立たなければ、観ることがなかった音楽家、プロジェクトは多い。ビル・ディクソンもまたその一人だった。

私がベルリンが好きなのは、芸術と大衆文化が交わるアジールな都市だったから。ローマでは歴史が重すぎる。パリでは時として洗練が鼻ににつく。じゃあ、東京は?私はここでふわふわと宙を漂う異邦人みたいなヘンな日本人なのかもしれない、と感じることがある。友人に「なぁーんて生活感ないところに住んでるの。…… でも、その生活感のなさもまた東京のひとつのリアリティかも」と言われたことがある。ベタな下町や路地裏だけがジャパンじゃないし、その逆だけでもない。それこそが、好き嫌いは別として都会の現実ではないか、と思う。

jazztokyoの表紙写真はオーケストラのサウンドチェックの様子。トリミングしての超横長変形サイズ、これがいいと思っても縦長の写真は使えないので、いつも選択に苦慮する。隔週刊のWeb Magazineのため2週間限定なので、元の写真を下に貼り付けておこう。 トニー・オクスレー・セレブレーション・オーケストラ・フィーチュアリング・ビル・ディクソン(左からトニー・オクスレー、トニー・レヴィン、E.L.ペトロフスキー、ヨハネス・バウアー、パット・トーマス、フィル・ミントン)。トニー・オクスレーとトニー・レヴィン、イギリスにおけるフリージャズの先駆者だった二人の名ドラマーが同じプロジェクトで共演するというのも珍しい。
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by kazuey1113 | 2010-06-28 19:38 | column
フレッド・アンダーソンが亡くなった。少し前に倒れ、その容態が案じられていたが、6月24日に息を引き取った。1929年3月22日生まれ、81歳。シカゴにおけるフリージャズの先駆的存在で、AACMの設立メンバーのひとりであり、クラブ・オーナーとしてバード・ハウス、その閉店後1982年にオープンしたヴェルヴェット・ラウンジの運営にもあたっていた。ハミッド・ドレイクらとの録音がある他、イレーネ・シュヴァイツアーとはCDの他、彼女のドキュメンタリー・フィルムでそのライブ映像を観ることができる(『Irene Schweizer/A Film by Gitta Gsell』 Intalkt DVD121)。合掌。

Chicago Tribuneの記事はコチラ>>>

Chicago Sun-Timesの記事はコチラ>>>
*邦訳もある『オーネット・コールマン』の著者、ジョン・リトワイラーが記事を書いている。

追)シカゴ出身のハワード・マンデルも自身のブログで記事を書いていた。コチラ>>>
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by kazuey1113 | 2010-06-25 18:58 | obituary
こんな番組があるよと教えてもらったので。

アブドゥラ・イブラヒム(ダラー・ブランド)のドキュメンタリー。彼は今秋来日し、京都の上賀茂神社でコンサートを行うという。
『南アフリカ 絶景を弾く - ジャズピアニスト アブドゥーラ・イブラヒム -』
NHK BS2 6月26日(土) 午後8:00~午後9:30
番組HPはコチラ>>>

南アフリカのジャズ&ポピュラー音楽については、『Sowet Blues / Gwen Ansell』という本がある。著者のアンセル女史とは、数年前コロンビア大のコンファレンスで会ったことを覚えている。

もうひとつはNHK教育『芸能花舞台: 山本邦山の世界』。出演者に佐藤允彦の名前が。滅多に聴けない(観れない)顔合わせ。
NHK教育 7月1日(木) 午後2:00~午後2:44 
(再放送7月4日(日) 午後11:30~午前0:14)
番組HPはコチラ>>>

*おまけ*
ワールドカップ関連でこんな記事が英ガーディアンにあった。コチラ>>>
明朝は日本-デンマーク戦だが、この記事にならってハーフタイムはブブゼラではなくオーネット・コールマンを聴くというのは?そうすれば勝利の女神が微笑むかどうかは定かではないけれど…。
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by kazuey1113 | 2010-06-24 19:59 | informaion
出かけたついでに本屋に立ち寄ったら、スイング・ジャーナル7月号が平積みになっていたのでパラパラとそのページをめくってみた。巻末に7月号で休刊とは書かれているものの粛々とそれまでと全く変わらない紙面構成。47年創刊で63年間続いた雑誌が休刊するということを何も感じさせず、このまま永遠に続くかのようなかわり映えのしないトピックスばかり。これでは、感慨のひとつも浮かんでこない。編集者は危機感のカケラも持っていなかったのだろうか、と疑ってしまう。だが、スイング・ジャーナルの休刊はとても象徴的な意味合いを持つ、と私は思っている。

その最たる理由は、ひとつのビジネス・モデルの崩壊である。SJは国内のレコード会社などからの広告掲載で収入を得てきた。そして、当然のことながらそこでリリースされるCDのアーティストを中心に取り上げてきた。日本で輸入盤の入手がそう簡単ではなかった時代には、国内盤のリリースをくまなく伝えるということは聴き手にとっても意味のあることだっただろう。だが、輸入盤も個人が直接海外から入手できる今となっては、国内盤をくまなく紹介したところでもはや大して意味はないのである。だいいち海外でリリースされたCDと全く同じものを日本語ライナーノートがついているという違いだけで国内盤としてリリースする意味がどれほどあるのか疑ってしまう。既にジャズファンは人それぞれインターネットを通じて必要な(必要と思っている)情報のある程度は入手しているだ。あえて分厚い雑誌(SJはおそらく世界一分厚い、重量のあるジャズ雑誌だった)を買う必然性がないことをファンは既に気付いているのだ。

SJのような音楽雑誌が扱う記事はかなり限定されている。SJでメインとなっていたのはCDリリースに伴う記事、レビューだろう。他にもミュージシャン・インタビューとかフェスティヴァル・レポートなどもあるが、これらも多少なりともCD販売と結びついたものだったことは否めない。コラムもまた然り。だが、ここでCD販売数が落ちてきた。それはそうだろう。ダウンロードも増えたが(とはいってもジャズはまだ少ないだろうが)、なによりも自主制作も含めるとリリース・アイテムの数は世界的に間違いなく増えている。それなれば、1アイテムあたりの販売枚数は必然的に減る。だが、CD制作コストがかなり低くなっているのでミュージシャンは自主制作も含めてCDをどんどん出すようになった。これではレコード会社も広告宣伝に費やす金額も減額せざる得なくなる(減額したいと思う)のは必然。となれば、広告宣伝費に頼っていた雑誌にとってはツライ現実と向き合うことになる。

取り上げる記事も業界密着型なのはビジネス上必要だったことは理解する。そういう意味では国内のレコード会社がどのような戦略(?)でどのようなターゲットにどのようなCDを販売しようと考えているのかわかるという意味では面白い雑誌だった。しかし、「ガラパゴス化」しているSJに代表される日本のジャズ業界人と違って、音楽ファンはもはや上意下達的な情報は欲していないということである。また、音楽受容のありかたも変化していて、CD以外のメディア、しかも無料で利用できるメディアの台頭も著しい。音楽情報をCDを中心に捉える時代はもはや終わったのではないか。

そうなれば残るのは音楽そのものである。ジャズ自体も多様化、多極化しているのである。アメリカやヨーロッパのある部分だけを見ていても動勢なんてわかりっこない。ジャズはそんなフラットな音楽ではないのだ。ヨーロッパは陸続きだからなにかと繋がっている反面、地域性も濃い。その面白さをどうして伝えないのだろう。違っているということは、それはそれで面白いということがわかれば、と思う。好き嫌いはそれからのこと。

しかし、グローバルに世界中どこでも繋がるこのご時世とは相反して、ひとりの人間が聴く音楽は逆にどんどん狭く狭くなっているような気がしてならない。ある種の好みだと思っている音に類似した音、似たような音ばかりを聴くようになってはいないだろうか。かつてはラジオを聴く人も多かった。なにげなくオンエアされる雑多な音楽を聴くなかで自らの好き嫌いも自覚していったのではないだろうか。かつては特に意図しなくても様々な音楽に接する機会があったのである。しかし、現在は「聴こう」と思ってアクションを起こさないと音楽は耳に入ってこない。これはこれで問題である。このような構造変化にどのように対応すべきなのだろう。日本では沖縄のような地域はともかくローカルな場でそのコミュニティと音楽との結びつきはもはや希薄であり、町興し的な音楽イベントは頑張っているところもあるが、まだまだ住民に根付くまでに至っていないような気がする。

はじめてヨーロッパのジャズ祭に行った二十数年前にいちばん感じたのは、聴衆がとても自然体で音楽を「楽しんでいる」ということ。ライブに行ってもジャズ、とりわけフリー系、即興音楽となると、構えて体を硬くして聴いているのがわかるようなことが多かったので、これはカルチャー・ショックだった。いつからこうなったのだろう、と思う。音楽を楽しむのではなく、オベンキョウしているようない雰囲気、それでは音楽を理解できなくなってしまう。聴いていてシンドクはないのだろうか。リラックスして心を開いて聴く、まずそこから始まるのに…。

話はややズレたが、このような現状のなかで印刷媒体としてのいかに生き残るか、ビジョンとストラテジを立て直さなかった(そもそもなかったのかもしれない)ことがSJが休刊となった大きな要因だろう。ネットメディアはもはや定着し、どんどん更新されている。その中で印刷媒体としての意義もまた見出すことは不可能ではなかったと思うし、その役割はまだまだ残っているように感じるのだ。それにしても「読み物」として面白い記事、しっかり書かれたレビュー/レポートは音楽雑誌では意外と少ない。ある程度知識があることを前提に情報伝達を中心にライターも書いているからだろう。また、ニューアカの時代はとうの昔に終わっているにもかかわらず、思想について語るのではなく音楽について語るのに現代思想のタームを持ち込むことが一般的にどれほど説得力を持つのだろうと思うこともある。

現在は情報がいとも簡単に入手できると人はいう。しかし、それが出来るのは実はそれなりの技を持った人達だけなのであることに意外と気付いていない。与えられる情報が量的にどんどん増える一方で、その取捨選択がきちんと行われなければどんどん情報自体がフラットになってしまうのである。つまり、情報入手が容易ではなかった数十年前と個人が受け取る情報量は大して変わらず、その偏りによってどんどん偏向性が気がつかないままに助長されていっているように思う。情報の公共性、それは今一度見直されてしかるべきと考える。「個人」云々いう人もいるが、公共性の確立と個の自覚は実は密接に繋がっているだろう。その「個」がぼんやりしているのが、よくも悪くも日本人なのである。

と、ついとりとめもなく長々と書いてしまった。それにしても梅雨は苦手だ。そういえば日本文学の妙に湿った感じもあまり好きではない。だが、意外と古典だとしっくりくるのもあるのはなぜだろう。大陸的カラカラ人間にはツライ季節である。せめてエアコンの除湿機能をフル活用することにしょうっと。
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by kazuey1113 | 2010-06-19 17:13 | misc.
ビル・ディクソンが6月15日に亡くなったとの報が入った。1925年10月5日生まれ、84歳。「ジャズの十月革命」の首謀者、ジャズ・コンポーザーズ・ギルド結成の立役者のひとりとして既に伝説的な人物であったが、晩年まで演奏活動を行っていた。

1994年にトニー・オクスレー・セレブレーション・オーケストラのゲストとして、1999年にはビル・ディクソン自身のプロジェクトでベルリンジャズ祭に出演していたのを私は観た。最初にそれと知らずにその姿を見かけた時に、そのただならぬ雰囲気に誰だろうと思ったことを記憶している。

次回のフォト・エッセイ@jazztokyoは追悼も兼ねてビル・ディクソンにすることにした。大急ぎで写真を探さねば。ひとつの時代が遠くなっていく…。合掌。

JazzTimesの記事はコチラ>>>

Citizen Jazzの記事はコチラ>>>
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by kazuey1113 | 2010-06-17 21:03 | obituary

Orbit Zero

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齋藤徹(b)と今井和雄(g)は東中野のplanBで定期的にデュオ公演を行ってきた。その昨年12月29日のライブ音源をCD化した『Orbit Zero』がリリースされ、その発売記念ライブが下記のとおり予定されている。即興音楽シーンではさまざまなアプローチが試みられているが、長年共演を重ねてきた二人だからこそ自由になれる空間、そのサウンドの広がりのなかでイマジナティヴな体験が出来るライブ・録音はそう多くはない。

「ORBIT」 齋藤徹×今井和雄
日時:7月3日(土) 19:00(開場30分前)
料金:予約2000円 当日2500円
場所:planB TEL:03-3384-2051
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by kazuey1113 | 2010-06-16 19:30 | new release

JJA Jazz Awards 2010

The Jazz Journalist AssociationのJAZZ AWARD 2010が発表された。特別功労賞にジェームス・ムーディ、年間最優秀ミュージシャンはなんとヴィージェイ・アイヤー、最優秀アルバムには『Folk Art/Joe Lovano』など。最優秀レコードレーベルは手堅いアルバム制作を行っているインディペンデント・レーベルPi Recordsが選ばれたのが印象深い。

AWARDは、会員がそれぞれの部門に5名のミュージシャンをノミネートし、さらにそれぞれの部門の上位5名から会員が1名を選び投票するという2段階を経て選出される。ゆえにデモクラティックな賞ともいえる。会員の多くはアメリカ人なので、現在アメリカの関係者はどのようにシーンを捉えているのかわかるので、アメリカのジャズ・シーンに疎くなりがちな私としては大変興味深い。受賞者だけではなく、ファイナリスト5名まで見ると意外な人物の名前があったりしてなかなか面白い。Nominees/Winnersはコチラ>>>

JJA JAZZ AWARD 2010: 詳しくはコチラ>>>
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by kazuey1113 | 2010-06-16 19:01

Jazzdor Strasbourg - Berlin

6月上旬に開催されたフェスティヴァルJazzdor Strasbourg - Berlinのライブ画像がアップされている。コチラ>>>

昨年日本ツアーした高瀬アキ&ルイ・スクラヴィスDUOも出演している。直リンクはコチラ>>>

他にもミッシェル・ゴダール&ギュンター・ベイビー・ゾマーDUO、ボヤンZ&ジュリアン・ルノー、ブノワ・デルベック・トリオ、ヴァンサン・クルトワ・カルテットなどを見ることができる。
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by kazuey1113 | 2010-06-13 13:42 | informaion

徹の部屋 Vol.8

c0098087_2213461.jpgフランスをツアーした後、ペーター・コヴァルトの組織のアーティスト・イン・レジデンスでブッパルタルに1ヶ月ほど滞在中の齋藤徹(近況は彼のブログに詳しい。コチラ>>>)。帰国後すぐにフランス、ドイツでも共演した小鼓の久田舜一郎をゲストに向かえて、「徹の部屋」第8回を東中野ポレポレ坐で行う。
「伝統」とは「現代」のこと?
フライヤーのキャプションにあったこの一文がどんな言葉よりもこの日のプログラムを伝えている。見逃せないライヴとなりそうだ。

徹の部屋Vol.8 『小鼓・久田舜一郎さんを迎えての宴』
日時:7月10日(土) 19時開場/19時30分開演
場所:ポレポレ坐(東中野駅前)
出演:齋藤徹(b)、久田舜一郎(小鼓)
料金:前売2,800円/当日3,300円 ワンドリンク付き
予約:03-3227-1405(ポレポレタイムス社)event@polepoletimes.jp
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by kazuey1113 | 2010-06-12 22:47 | informaion
c0098087_215358.jpgインプロヴィゼーションというと調性もなく、不協和音が連なっているという先入観がいつのまにか出来てしまってはいないだろうか。しかし、ボルチモア在住の須藤伸義(Nobu Stowe)は、即興でありながらも調性やメロディックな要素を盛り込んだ名付けて”トータル・インプロヴィゼーション”ということをやっている。フリーの一歩先を行こうという発想だ。その須藤が新作『Confusion Bleue / Nobu Stowe』(Soul Note)をリリースした。カルテットだけに色彩感豊かな演奏。調性やメロディックな要素が入っていることもあって構成が見えるからだろうか、作曲された作品を聴いているようにも感じるのだが、純粋な即興演奏である。不協和音など所謂フリーな部分とのフュージョンの妙が面白い。ギターのRoss Bonadonnaはなかなかの逸材だ。
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by kazuey1113 | 2010-06-12 21:44 | new release