横井一江のブログ "jazz,improvised music...and beyond"


by kazuey1113

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今井和雄トリオ

少し前に開催されたFtarri Festivalでは、随分と多彩な即興演奏、その表現を体験出来たという意味で貴重だった。内容的には玉石混淆だったと思うが、それもまた現在の状況ということだろう。幾つかとても印象に残ったセットがあったが、その一つ「今井和雄トリオ」が近々またライブをやる。

今井トリオはFtarri Festivalの中で最も異質な出演者だった。なぜなら、そのフェスティヴァルに出演したプロジェクトによる演奏の多くはジャズとは全く無縁なものだったにも関わらず、今井トリオのベースにあるのは全くもってジャズだったからだ。だが、聞こえてきた音からはジャズと思わなかった人もきっと多かったと思う。伊東篤宏 (optron)と 鈴木學 (electronics)の出すサウンド(ノイズといったほういがわかりやすいかもしれない)に乗っかって、今井のギターがテーマを弾き、アドリブを展開するのだが、それがジャズのサウンド構造を援用しており、本質的な意味でジャズに繋がっているのである。伊藤のオプトロン(蛍光灯)から出るノイズをリズムとして扱い、鈴木の自作アナログ・エレクトロニクスから出すサウンドを一種のハーモニーとして見立てていると今井はいう。この発想が面白い。そして、実際に演奏された曲はアーネット・ピーコックの作品であり、かの有名な≪サブコンシャス・リー≫であり、シャンソンだったのだ。そのサウンドはどう聞こえたのか。端的にいえば、アブストラクトな絵画の中から具象的なモチーフが浮かび上がり、それらが重層的に存在したかと思えば、また沈み込んでいく、そのような印象だった。今井のギターは秀逸、もう既に3年ほどライブ活動しているだけにバンドとして音楽的な安定感さえある。実に興味深いプロジェクトなので、いつかじっくり評できたら嬉しい。

このトリオは年に数回のペースでライブ活動を行っているようだが、5月は2度ほどライブの予定がある。
5月3日 横濱インプロ音楽祭 横濱エアジン
5月28日 なってるハウス

なお、4月26日から5月5日まで横濱インプロ音楽祭<春>が横濱エアジンと横浜バロック関内サロンで行われている。
詳しくはコチラ>>>
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by kazuey1113 | 2008-04-30 07:58 | informaion

IAJE倒産

約40年に渡り、ジャズ教育関係を中心に様々なプログラム、コンファレンスを行ってきた非営利団体International Association for Jazz Education(IAJE)が倒産した。詳しくはコチラ>>>
これについてハワード・マンデルがブログに書いたコメントはコチラ>>>
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by kazuey1113 | 2008-04-26 11:53 | informaion
ジミー・ジュフリー(cl,ts,bs)がパーキンソン病による合併症で4月24日に亡くなった。享年86歳。87歳の誕生日の二日前だった。
1921年4月26日テキサス州ダラス生まれ。40年代後半ウディ・ハーマン・セカンド・ハードに入り、≪フォー・ブラザース≫の作曲で有名になる。50年代はライトハウス・オールスターズやショーティ・ロジャースのジャイアンツ、またジム・ホールとボブ・ブルックマイヤーとのトリオなどウエスト・コースト・ジャズで活躍。この時代の代表作は『ジミー・ジュフリー3』(Atlantic)だろう。60年代に入るとポール・ブレイ、スティーヴ・スワローと新たなトリオを結成。その時代の演奏は『1961』(ECM)、『Free Fall』(Columbia)で聴ける。後にこのトリオを再結成し、『The Life of Trio: Saturday』と『The Life of Trio: Sunday』を残している。また、作曲や大学で教鞭をとるなど後進の指導にもあたっていたが、近年はパーキンソン病のため演奏活動は行っていなかった。『真夏の夜のジャズ』の映像と共に独特なクラリネット・サウンドが印象深い。合掌。

New York Timesにベン・ラトリフが書いた追悼記事はコチラ>>>
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by kazuey1113 | 2008-04-26 08:31 | obituary
c0098087_19244464.jpg題して"Heavyweights!"。ヨーロッパ・フリー・ジャズの頂点に君臨するサックスの猛者ペーター・ブロッツマンと日本のジャズ界の最高峰である佐藤允彦(p)、森山威男(ds)との共演。どこかでありそうで今までなかった顔合わせ。百戦錬磨の強者達による果たし合いは一体どうなるのだろう。聴衆は応酬するサウンドの嵐にのみ込まれるのか、あるいは老練な巧者達ならではの新境地を見出すのか。いずれにしても必聴!必見!

5月16日(金)17日(土) 新宿ピットイン
開場19:30 開演20:00 
予約4000円 当日4500円 (共に1ドリンク付き)
新宿ピットイン、チケットぴあ(Pコード289-631)でチケット(開場時優先入場整理番号付)前売り中
http://www.pit-inn.com
問い合わせ:idiolect@mac.com
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by kazuey1113 | 2008-04-23 19:40 | informaion
c0098087_2122166.jpgアレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハの『Globe Unity 40 Years』(Intakt Records)がドイツ批評家レコード賞を受賞したという知らせが入った。ドイツ批評家レコード賞は年4回選定されるのだが、その第二四半期の受賞作となった。今年の第一四半期は『高瀬アキ/サムシング・スウィート、サムシング・テンダー』だったので、夫婦で連続しての受賞。心からおめでとうと言いたい!

ところで、『Globe Unity 40 Years』を出しているIntakt Recordsの日本での流通状態はずっとよくなかったが、今後改善する見通しがたった。それについてはまた追ってお知らせする。
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by kazuey1113 | 2008-04-18 21:05 | informaion
エミール・クストリッツアというとまず思い浮かぶのは映画『アンダーグラウンド』。他にも『パパは出張中』や『黒猫・白猫』で知られる偉才だ。彼は映画監督の他、ノースモーキング・オーケストラを率いた音楽活動も行っていることはご存知だろうか。その映画にも一脈通じるバルカン発の独自のミクスチャー・サウンドは、2001年に発売された『ウンザ・ウンザ・タイム』で世界的に話題を集め、ヨーロッパ諸国だけではなく、ロシア、ラテンアメリカでの海外公演でも会場を熱狂させ、世界的な台風の目となっている。そのエミール・クストリッツア&ノースモーキング・オーケストラが初来日し、一回限り!の公演を行う。”渋さ知らズ”に拮抗できるバンドがあるとしたら、これかもしれない。フリージャズ的要素は少ないが。

6月26日 東京ドームシティ内 JCBホール
詳しくはコチラ>>>
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by kazuey1113 | 2008-04-14 18:59 | informaion
携帯サイト、着メロ、着メロふるで、ピアニスト矢沢朋子が主宰するGeisha Farmの3タイトル『Cabaret / Chizuru Mitsuhashi』、『Transition / Tomoko Yazawa』、『Flash Point / Tomoko Yazawa』に収録されている曲の配信が開始された。着メロの配信は今やよくあるが、それがバリバリアカデミックな筈なのにレィデオ・ヘッドやマシュー・シップが面白いと食指を伸ばすピアニストのジスモンチ≪7 Aneis(7つの指輪)≫やメシアン≪Canteyodjaya≫、ジョン・ゾーン≪Carny≫だったら。ジスモンチはクールだが、着メロでメシアンが流れてきたら可笑しいかも(←スミマセン、不謹慎?)。あるいは、ジョン・ゾーンのピアノ版ひとりコブラみたいな作品だったら…。

ダウンロードの方法等はコチラ↓↓↓
http://recochoku.jp/site/sound.html
*検索はアルファベットかカタカナで

また、Geisha FarmのCD3タイトルのダウンロード配信もスタートした。iTune Music Store、Napster、 Mora、USEN(OnGen 他)などからダウンロードできる。世界各国に配信するためアルファベットで登録されているので、検索する時はご注意を。

Yahoo Music!のiTunesでも試聴&購入できる↓↓↓
Tomoko Yazawa または Chizuru Mitsuhashi

ダウンロード配信に否定的なミュージシャンは多い。録音やパッケージ、ジャケット・デザイン等々も含めてこだわりを持って制作していれば、そう思うのは当然だろう。しかし、発想を転換させる必要もまたあると思うのだ。特にインディペデント・レーベルでは。これだけCDの作品タイトルが増え、大手CDショップでさえ店頭に並ぶ確立はどんどん低くなっている。試聴して気に入ったら、あるいは試しにダウンロードしてみて気に入ったら、(どこかの通販サイトで)CDを買うということもあるかもしれない。検索の途中で偶然出会うことや、あるいはショップでは見つからなかったけど、ダウンロードではあったとか等々。単純に取り敢えずダウンロードして聴いてみるというのでもいいと私は思うのだ。音楽の作り手は聴いてほしいから制作しているのではないのか。だったら、きっかけは多いほうがいいに決まっている。なのに抵抗のある人が多いのはなぜなのだろう。もし、CD=アート作品というのなら、徹底的にこだわるべきだ。それでこそ差別化できるし、CDでなければならないという価値が出るのではないか。

私は実は大のヘッドフォン嫌いで、iPodは持っているが旅行時に音楽を聴くためとヴォイス・レコーダーの代用品にしかすぎない。消極的な利用者だが、なにかを調べている時にダウンロード配信がちょっと役に立ったりすることも実際あるのだ。反対にインド人の知人はパソコンに数千曲iTunesでダウンロードした曲を入れている。大半は彼の好きなインドのポピュラー音楽らしい。考えてみれば日本のCDショップではそんなに沢山のインドの音楽を扱っていないから、もっとも早く確実に入手する方法なのだろう。そういう意味では、彼にとっては画期的なメディアに違いない。利用法は人それぞれである。しかし、配信されていなければ、聴かれるチャンス自体失われるのだ。

少し前に出たレィディオ・ヘッドの新譜についての話題は、その音楽ではなくダウンロード配信するという販売方法だった。彼らの時代に即したビジネス感覚はシャープでクールである。メジャーなアーティストとインディペンデントで頑張っているミュージシャンの置かれている立場は違う。だが、発想を転換させ、現代のメディアをいかに効果的に利用するかを考えて然るべきと思うのだ。
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by kazuey1113 | 2008-04-12 11:50 | informaion

Ftarri Festival 京都/東京

日本の即興音楽を世界に紹介してきたImprovised Music from Japan。2006年末にFTARRIを立ち上げ、CDレーベルとネットショップ部門を移行。そのFTARRIの運営も軌道に乗ってきたということで、遅ればせながらのFTARRI発足記念フェスティヴァルを東京と京都で開催する。Improvised Music from Japanゆかりのミュージシャンが総勢出演する他、海外からもリュウ・ハンキル、アクセル・ドゥナー、ニコラス・ブスマンなどが参加。即興音楽の現在形にふれるまたとないチャンスだ。また、会場のCD販売コーナーにはなかなか入手できないようなCDなども並びそうなのでこちらも要チェック。

京都: 4月13日(日) アバンギルド 詳しくはコチラ>>>
東京: 4月19日(土)20日(日) スーパーデラックス 詳しくはコチラ>>>
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by kazuey1113 | 2008-04-11 08:36 | informaion
2002年にスタートしたUNERHOERT!がどういうフェスティヴァルなのか、昨日書いたことの補足も兼ねて簡単に書いておこう。

基本的に小規模(といっても聴衆は数百人規模)ながらもインターナショナルなフェスティヴァルであり、現代のジャズ、新しい表現者たち、新しいムーヴメントにスポットを当て、世界的に活躍しているミュージシャンを招いている。これは世界中あちこちにある同種のインターナショナル・フェスティヴァルとほぼ同じだ。かつてのメールス・ジャズ祭のように特にアンテナとなるフェスティヴァルというわけではない。しかし、トップクラスのミュージシャンをフェスティヴァルに招くということは単に音楽の紹介ということにとどまらず、ローカル・ミュージック・シーンに刺激を与え、ネットワークを作るためにも有効だとパトリック・ランドルトは考えているのだ。

関連プログラムとして、出演グループのひとつ、ルカス・ニグリのバンド”ズーム”は学校でも演奏し、グレン・フェリスのワークショップも行われた。そしてまた、フェスティヴァルではバリー・ガイの指揮の下でルツェルンの音楽大学の学生バンドが彼の作品≪ハーモス≫を演奏。これはフェスティヴァルで取り上げるような音楽を若い世代(高校生や大学生)にも聴いてほしいと考えているからなのである。このような企画を続けていることが効を奏したのか、大ベテラン勢の演奏でも若い人がかなり来ていた。

招待されたミュージシャンと地元のミュージシャンとのコラボレーションも毎年行われている。この年はオリバー・レイク、アンドリュー・シリル。また、ペーター・ブロッツマンもチューリッヒのミュージシャンとのユニットで出演していた。地元勢が出るとまた違った盛り上がり方をするのが面白い。また、若手ローカル・ミュージシャンのバンドも出演させている。それだけではなく、フェスティヴァルの運営面でも地元のミュージシャンがいろいろ協力しているという。

地域のジャズクラブ”ムーズ”やローテ・ファブリーク、また学校や老人施設とも協力して、ファン層、コミュニティを拡大していきたいという考えのようだ。それも開かれたものとして。

見た目はよくあるインターナショナル・フェスティヴァルなのだが、それをチューリッヒというローカルの中で位置づけ、ローカルに目線を置いた関連プログラムなどを組み込んでいるところに特色があるのだ。そこにパトリック・ランドルトをはじめとする主催者の戦略があることは言うまでもない。
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by kazuey1113 | 2008-04-09 20:40 | column
c0098087_21101888.jpg11月にチューリッヒへ出かけた。UNERHOERT!というフェスティヴァルを観るためである。

UNERHOERT!は、今までに出かけたフェスティヴァルとはどこか違った。しかし、どこがどう違うのかモヤモヤして、よくわからない。でも、どこかが違うのだ。それは単にUNERHOERT!がこじんまりとしたフェスティヴァルだったからではない。規模としては、FMPのTotal Music Meetingだってこのくらいだった。ローカル・ミュージシャンが出演しているけれど、彼(女)らが中心で著名なミュージシャンもゲストとして招くというのともちょっと違う。

すっきりしない気分のまま帰国してしばらく頭の片隅で考えていたのだが、他の仕事や雑事に追われているうちに、花粉症に襲われてしまった。思考力が低下し、ますますすっきりしない。と、主催者の一人であるパトリック・ランドルトに聞いたことを読み返してみた。そしてわかったのだ。彼なりのUNERHOERT!の位置づけがあったのだと。国内外のミュージシャンを招いた状況論としてのフェスティヴァルではなく、「ローカル・ミュージック・シーンの一部」として捉えている。それでローカル・シーンとインターナショナルな視点を重ね合わせたプログラム構成になっていたのだ。もしかすると、これは私の勝手な想像だが、更によりインタラクティヴなものにしたいと考えているのかもしれない。

UNERHOERT!のように中小規模ながらも頑張っているフェスティヴァルは幾つもあるだろう。それらは音楽シーンを下支えしているともいえる。しかし、単なるショーケースとしてのフェスティヴァルから脱却して、自らの立ち位置を検証しなおす時期に来ているのかもしれない。それを考えるとUNERHOERT!はフェスティヴァルのひとつのあり方を示しているように思えるのだ。

チューリッヒを訪ねて(前編)@ jazztokyoコチラ>>>
-UNERHOERT!フェスティヴァル-
(どんなミュージシャンが出ていたのか、そのラインナップなどを)

チューリッヒを訪ねて(後編)@ jazztokyoコチラ>>>
ローカルな視点-フェスティヴァルとスイス音楽事情を少し-
(パトリック・ランドルトに話を訊いたことなど)
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by kazuey1113 | 2008-04-08 21:52 | column