横井一江のブログ "jazz,improvised music...and beyond"


by kazuey1113

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『Evan Parker / Boustrophedon』

c0098087_21441967.jpgエヴァン・パーカーの異色アルバム『Boustrophedon』(ECM)がリリースされた!2004年ミュンヘンでのライヴ・レコーディングである。boustrophedonとは犂耕体のこと。このThe Transatlantic Art Ensambleの編成は、ロスコー・ミッチェルのノート・ファクトリー・グループとエヴァン・パーカーのエレクトロ・アコースティック・アンサンブルのメンバーなどからなっている。

絶対になにかこのアルバムにはある、というオーラが漂っていたのか、発売前に珍しく予約。CDが届いたので、すぐさま聴いていたら、電話が…。「アンタ、何聴いているの?カッコいいじゃん!ベリオみたーい」とは、さすが現代音楽を得意とするピアニストらしい反応。まるで現代音楽?しかし即興演奏部分も間違いなくある。どのように書かれているのか興味津々というところ。譜面を読もうというのではなく、どのような発想なのか単純に知りたいだけなのだが…。エヴァン・パーカーのCDは沢山出ているが、自ら指揮するその作品のCDはおそらく初めてではないのだろうか。

これを聴きながら、同じくヨーロッパとアメリカの先鋭達の共演だった1969年に録音された『Gittin' To Know Y'All』を思いだした。それに匹敵するインパクトがあったということ。ただし、断っておく。フリー・インプロと思って聴いたら裏切られる。でも、カッコいい!!!

さっき電話で邪魔されたし、もう一度きちんと聴こう。。。
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by kazuey1113 | 2008-03-28 22:55 | new release
4月18日から21日にかけてブレーメンでjazzahead!というジャズイベントが開催される。数年前にスタートしたjazzahead!は、各国のミュージシャンを招いたコンサートだけでなく、ドイツ人ミュージシャンを各国に紹介しようというプログラム”ジャーマン・ジャズ・ミーティング”なども行われるバラエティに富んだ催しである。

その一環でパネル・ディスカッションも開催されるのだが、ニュースレターにあったテーマが目を引いた。二つのパネルが予定されているのだが、ひとつは"Quality in Jazz Journalism"、もうひとつ" The Future of Jazz in Public Radio"。ヨーロッパ各国からジャーナリストなどを招き、英語でディスカッションするという。

そのテーマからジャズ・ジャーナリズムも大きな過渡期を迎えているという自覚、そして危機感が伝わってくる。また、そこでは自ずとジャズ評論のあり方も問われるに違いない。ラジオが俎上に乗るのは、ラジオを日常的に聞く人が日本より多く、また多くのジャズ祭のスポンサーになっているという事情が反映されているのだろう。どの国のライターも玉石混淆であり、質の低下が問題となっていることも同じだ。しかし、それを問題視し、これからジャズ・ジャーナリズムがどうあるべきか考えていこうとする動きがあることだけでも、何かにつけ内輪な話に終始しがちな日本のジャズ言論界とは隔世の感がある。日本のジャズ・ライターはCD情報だけは感心するくらい収集しているものの、このような時代の動き、世界の流れには鈍感な気がしてならない。それはあまりに内向きなこの国のジャズ・ジャーナリズムの貧しさをも現しているようにさえ思える。
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by kazuey1113 | 2008-03-26 07:46 | informaion

Moers Festival 2008

メールス・フェスティヴァルのプログラムが発表された。今年は聖霊降臨祭の連休が早いため、5月9日から12日にかけて開催される。出演者は、ジョン・ゾーン(ソロ)、セシル・テイラー&トニー・オクスレー、スーパーサイレントfeat.テリエ・リピタル、アヴィシャイ・コーエン、テオ・ブラックマン、ペーター・エヴァンス、ジェイソン・モランなど。なお関連プログラムについては、4月3日に発表される。
詳しくはMoers FestivalのHPで:コチラ>>>
ちなみに上記HPでは昨年の演奏をポッドキャスティングしている。

興味深いのは、今年からメールス市が「インプロヴァイザー・イン・レジデンス」という制度を始めたこと(詳しくはコチラ>>>)。それに選ばれた女性サックス奏者Angelika Niescierも出演する。

ブーカルト・ヘネンが去り、音楽監督がライナー・ミカエルになってから早3回目。やはり培われてきたものが違うだけに、なかなか健闘している。このような内容、水準のフェスティヴァルが、CD輸入大国である日本にないのは寂しい。

ブーカルト・ヘネンが音楽監督を務めるOffside Openは8月22日から24日、こちらはスペシャル・アーティスト・ディレクターにディヴィッド・マレイを迎えることが決まったようだ。
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by kazuey1113 | 2008-03-22 07:50 | informaion
パリ在住の人から、郊外のサンドニ県で開催されるジャズ・フェスティヴァルbanlieues bleuesが14日から始まったよ、という便りが。4月18日まで、1ヶ月余りに渡って開催されるので、その期間にパリに行く人はチェックしてみるといいかもしれない。
詳しくはコチラ>>>

ポスターに描かれたようにテーマはボクシング。これは今まで出会ったことのないテーマであり、ユニークな企画も用意されている。

出演するのは、フランスで今が旬のミュージシャン達、ブノワ・デルベック、メデリック・コリニョンはもちろんマシュー・シップやディヴ・ダグラス、ラスト・ポエッツ、またイヴァ・ビトヴァ、バラエテイーに富んだラインナップ。日本からは大友良英ONJOがパリ在住の沖至も加わったユニットで参加。サリフ・・ケイタなどアフリカ系のミュージシャンが出演するのはサンドニ県らしいともいえる。

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話変わるが、一年以上前にリリースされたメデリック・コリニョンの新譜『ポギーとベス』(MINIUM)をやっと入手した。MINIUMというレーベルは澤野工房がディストリビュータなのだが、澤野から出しているジャズCD路線と異なるという理由からかずっと輸入はされず、注文することさえできなかったのだ。それが発売後一年以上経ってやっと輸入されるという珍事。メデリック・コリニョンはルイ・スクラヴィスなどと共演しているポケット・トランペッターで、ヴォイス・パフォーマンスもすごく面白い。しかも、演奏されているのは≪ポギーとベス≫。フランスでは最注目のミュージシャンのひとりなのになぜ?と思う。

それよりも可笑しかったのは、HP上に「一部難解な表現が含まれます。一度試聴されてからのご購入を強くお勧め致します」とあったことだ。≪ポギーとベス≫はマイルスが演奏したギル・エヴァンスの編曲を下敷きにしている。本当の意味で難解なある種の現代音楽ではないし、爆音が炸裂するわけでも、高周波のサウンドが流れるわけでもないだけに、意味不明。どうやら澤野ブランドのジャズと異なると「難解」と判断されるようだ。好き嫌いは絶対だし、ブランドのカラーを大事にするのもよくわかる。しかし、いささか誤解を招きかねないこの表現はおかしいですよ、と言いたい。
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by kazuey1113 | 2008-03-20 21:08 | informaion
サントリー文化財団の助成による研究プロジェクト「現代ジャズ文化研究」の第4回研究会が下記の予定で行われる。今回の発表者は大里俊晴と昨年末『サウンド・アナトミア』(青土社)を上梓した北里義之の二名。

日時:3月30日午後2時~午後5時 終了後は懇親会
料金:無料(懇親会参加者は要会費)
場所:世界史研究所(渋谷駅から徒歩3分)
地図等はコチラ>>>
研究会のHPはコチラ>>>

希望者はこちらまで>>>masami@human.niigata-u.ac.jp 
                 TEL&FAX 025-262-7254
会場の関係で定員になり次第締切となるので希望者はお早めに。
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by kazuey1113 | 2008-03-18 08:25 | informaion
c0098087_10564633.jpg岡登志子主宰のダンス・カンパニー、アンサンブル・ゾネ(Sonneはドイツ語で太陽の意)の新作公演『FalkenSchrei -鷹の声-』が行われる。音楽を担当したのは高瀬アキ(ただし当日演奏するわけではありません)。

3月15日, 16日神戸アートビレッジセンター 
3月29日, 30日シアターΧ
詳しくはコチラ>>>


岡登志子はアンサンブル・ゾネの活動の他、ミュージシャンとの即興パフォーマンスも行っており、3月23日にも内橋和久と国立国際美術館で共演する。
詳しくはコチラ>>>
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by kazuey1113 | 2008-03-15 11:28 | informaion

スタッズ・ターケル

スタッズ・ターケルの『ジャズの巨人達』(青土社)を読みながら、その名前を知ったのはネルソン・オルグレンの『シカゴ、シカゴ』(晶文社)だったことを思いだした。そして、最初に読んだターケルの本が『インタビューという仕事!』(晶文社)。二人ともシカゴと縁の深い。シカゴといえば、一時ビートの父と呼ばれたケネス・レクスロスも住んでいた筈。彼らは皆ジャズが好きだった。昔はこのような気骨のある書き手がいたんだなぁ、と思いながら、『ジャズの巨人達』のReviewをjazztokyoに書いた。コチラ>>>

そういえばこの種の骨太な書き手と出会わなくなって久しい。ジャズ批評でも言葉に気迫のあるガッシリとしたライターが出てきてほしいとも思う。自戒も込めて。
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by kazuey1113 | 2008-03-10 22:32 | column

Point of Departure Issue 16

ビル・シューメーカー氏が主宰するオンライン・ジャーナルPoint of Departure Issue 16がアップロードされている。PoDは即興音楽やフリージャズも取り上げる貴重なメディア。今回の表紙はジョン・ローズ。彼が日本に来たのはもう10年以上も前ではなかったか。最近の動向は知らなかったが、なかなか面白い記事だ。「PoDラウンドテーブル」と題されたメールによる討論は、ジョン・ブッチャー、ヴィージェイ・アイヤー、ジャンカルロ・スキアフィーニという英米伊の3人。彼らの共通点はなんと大学時代に物理学を専攻したということだった。フランチェスコ・マルティネリの連載「ヨーロピアン・プロポーザル」はなんとハンガリー。バックナンバーもいろいろ読める。

興味のある方はコチラ>>>
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by kazuey1113 | 2008-03-04 07:31 | informaion
c0098087_21172238.jpg1986年、ナンシーのジャズ・フェスティヴァルに出演し、圧倒的なパフォーマンスで瞬く間に世界の注目を集めたドゥドゥ・ニジャエ・ローズ。私が初めてそのステージを見たのは20年前、1988年のメールス・ジャズ祭だった。その日は5月半ば過ぎているというのに気温が低く、会場であるテントの中はセーターに皮ジャンでもひどく寒かったことを覚えている。しかし、寒さに震えながらもそのステージを見ていたいと思わせる圧倒的なエネルギーがあった。当時既に57歳のドゥドゥだったが、引き締まった身体でステージ狭しと動き回り、タムタムを叩き、パーカッション・アンサンブルを指揮する。祝祭的でありながらも洗練されたものをそのステージに感じたことを思い出す。その後、パーカッション・アンサンブルで来日した時も出かけていったものだ。

再びメールス・ジャズ祭で彼を観たのはディヴィッド・マレイのプロジェクトに参加していた1996年。その年のメールス・ジャズ祭にはアンドリュー・シリルやドン・モイエという錚々たるドラマーも出演していたのだが、彼らはドゥドゥをひどく敬愛していて、一緒に写真を撮りたいからとカメラを渡され「シャッターを押せ」と言われたのを覚えている。

第4回アフリカ開発会議(TICAD Ⅳ)が横浜で5月28日~30日にかけて開催されるのに合わせ計画されているアフリカ関連文化事業のひとつとして、ドゥドゥ・ニジャエ・ローズがパーカッション・オーケストラを率いて再び来日する。横浜公演のみヒダノ修一スーパー太鼓プロジェクトが参加する予定。ドゥドゥも今や77歳、しかし聞くところによるとそのパワーは変わらないと。

5月16日(金) 横浜 関内ホール
5月17日(土) 横浜 関内ホール
5月20日(火) 東京国際フォーラム ホールC

詳細はコチラ>>>
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by kazuey1113 | 2008-03-03 21:41 | informaion

Play Your Own Thing

c0098087_21403195.jpgc0098087_21405550.jpg2006年11月、ベルリン・テーゲル空港に降りた私の向かった先は映画館デルフィだった。その年のベルリン・ジャズ祭のテーマのひとつは映画で、その幕開けはジュリアン・ベネディクト監督の『Play Your Own Thing』のプレミア上映だったのだ。映画館のロビーはラッシュアワーの電車並、やっとの思いでスタッフを捕まえて荷物を預けて中へ。プレミア上映らしく赤いカーペットも敷かれていた。

『Play Your Own Thing』は、ミュージシャンへのインタビューと貴重なライブ映像をスナップショットのように繋ぎ合わしながら、ヨーロッパにおけるジャズ受容の課程と現在を伝える映画である。晩年のアルバート・マンゲルスドルフへのインタビュー、マイルス・デイヴィスの想い出を語るジュリエット・グレコ。ディジー・ガレスピーとダスコ・ゴイゴヴィッチとの共演、ジャーマン・オール・スターズ、クシシュトフ・コメダの若い日の姿、またバーデン・バーデンのニュー・ジャズ・ミーティングの貴重な映像も少し。最近のライブ映像では、ルイ・スクラヴィスの印象的なバスクラリネット・ソロ、ヨアヒム・キューンのバンドのメンバーにはルディ・マハールの姿が。他にもジョー・ザビヌル、ヤン・ガルバレク、マーシャル・ソラール、ニールス・H・O・ペデルセン、ボボ・ステンソン、トーマス・スタンコ、ピノ・ミナフラ、アントネーロ・サリス、アルヴェ・ヘンリクセン、ティル・ブレナー、ステファーノ・ボラーニなど。とにかく見所満載である。

尤も60年代のフリー・ムーヴメントの位置づけが曖昧であり、イタリアのマエストロ、ジョルジォ・ガスリーニやフランスの大御所ミシェル・ポルタル、長年にわたってベルリン・ジャズ祭の音楽監督を務めたジョルジュ・グルンツ、オランダのジニアスにしてエリック・ドルフィーの最後の共演者のひとりであるミシャ・メンゲルベルクが出ていないし、重鎮アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハの映像はほんの瞬間だけという不満は出る。そこを指摘するクリティカルなベルリーナーも。しかし、90分の映画では全てを満足させるのは不可能であることも確か。とにかく、様々なミュージシャンの貴重な証言や映像が観られるということだけでも『Play Your Own This』は一見の価値がある。自らのヴォイスを追求した結果、バラエティに飛み、多種多様な個性が存在するヨーロッパのジャズの一端に触れるよい映画といえる。

プレミア上映の後、監督・スタッフだけではなく、出演ミュージシャンであるココ・シューマンやヨアヒム・キューンらも赤いカーペットを歩いて壇上へ。ジャズというとアメリカの音楽という定式が今でも根強いだけに、その視座を考えるとこれは実はちょっとした出来事だったのかもしれない。

ドイツ語版DVD(左)に続き、最近英語・フランス語・イタリア語字幕付のDVD(右)も発売になった。是非日本語字幕のものも出してほしいと思う。

この映画の予告編はコチラ>>> (trailerをクリック)

果たして日本でも同類の映画が作られる日が来るのだろうか。
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by kazuey1113 | 2008-03-02 22:10 | informaion