横井一江のブログ "jazz,improvised music...and beyond"


by kazuey1113

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異郷に住む音楽家達

毎年11月に開催されるベルリンジャズ祭のプログラムが決まったようだ。今年は「異郷に住む音楽家達」を特集している。オランダに住むアメリカ人マイケル・ムーア、コペンハーゲンに行ったオーストリア人のマイケル・マントラーなど。彼らの音楽的な傾向はさまざまだ。このようなトピックスで特集を組むこと自体、異郷化が進む現代を象徴しているように思う。

また、マグレブの音楽シャービの音楽家エル・グストが水曜日のメインステージに登場。土曜の夜はブラジルの名ギタリスト、ヤマンドゥ・コスタをフィーチャーしたトリオ・マデイラ・ブラジルによるショーロ。変遷する現代のローカル・ミュージックもピックアップしている。

詳しくはコチラ>>>

毎年のことながら実際のプログラムについては異論反論多々あるが、視線のあり方が日本のジャズ祭とは全く違う。というか、日本のメジャーなジャズ祭のレベルが低すぎるだけのことなのだが。
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by kazuey1113 | 2007-08-30 23:53 | informaion
コロンビア大学のジャズ研究センターが主催する「コロンビア/ハーレム・フェスティヴァル・オヴ・グローバル・ジャズ」と題したイベントが9月19日から29日にかけて行われる。コロンビア大学の教授でジャズ研究センターのディレクターに今年7月就任したばかりのジョージ・ルイスの主導で、フイルム・フェスティヴァル、コンサート、クラブ・ギグ、コンファレンスなどが予定されている。アカデミックな場でありながら、進歩的な発想によるプログラミングを呈示しているのもジョージ・ルイスならでは。

19日のオープニング・イベントの出席者は、ランディ・ウエストン、穐吉敏子、ビリー・テイラーで、スージー・イバラのパフォーマンスが予定されている。コンサートは、ジョージ・ルイス自身もメンバーであるグローブ・ユニティ・オーケストラ、ジョエル・レアンドレ・オクテット、ディヴィッド・マレイ&キッド・ジョーダン・オールスターズ、モンティ・アレキサンダー・カルテット、スティーヴ・コールマン&ミスティック・リズム・ソサエティなど。フィルム・フェスティヴァルでは、全部で17本のジャズ・即興音楽の映画が上映される。入場料も大変安く、無料の催しも。

また、The Jazz Journalist Association会長のハワード・マンデルの協力を得、ジャズ・ジャーナリストや評論家を招いておこなわれる第一回国際ジャズ・ジャーナリスト会議では、幾つかのテーマでパネル・ディスカッションが行われる。ルイスはこのような企画を以前からやりたいと考えていたらしい。出席者は、スタンリー・クラウチ、ゲイリー・ギディンズなどの大御所の他に、フランスのアレックス・デュティル、イタリアのフランチェスコ・マルティネリ、スイスのパトリック・ランドルト、ドイツのクリスチャン・ブロッキングなど。ロシア、メキシコ、トルコ、中国なども含め全13カ国の音楽ジャーナリスト・評論家が集合する。進行役はルイスの他に『ジャズ・ヒストリー』(青土社)の著者であるジョン・F.スウェッドなど。私もその一つに参加する予定。

詳しくはコチラ>>>
コンファレンスについてはJJAサイトにも>>>
(後日情報はアップデートされる予定)
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by kazuey1113 | 2007-08-26 23:57 | informaion

訃報:富樫雅彦氏

このところ訃報が続いている。また一人、かけがえのないミュージシャンが・・・
富樫雅彦氏が8月22日に亡くなったとのメールが入った。
日本ジャズ界最高峰のドラマー・パーカショニストであり、即興演奏家としても本当に貴重な存在だった。遺産ともいえる彼の様々な作品が今後とも聴かれていくことを願ってやまない。

心からご冥福をお祈りします。
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by kazuey1113 | 2007-08-23 08:41 | obituary
アート・ディヴィスが7月29日に心臓麻痺でカリフォルニアのロング・ビーチの自宅で亡くなった。1934年12月5日ペンシルバニア州ハリスバーグ生まれ、享年73歳。クラシック音楽の教育を受けた後、マックス・ローチ、ディジー・ガレスピーのグループに参加。ジョン・コルトレーンの2ベースのバンドに加わり『オレ!』、『アフリカ・ブラス』、『アセンション』などの録音を残している。その傍ら、ジュディ・ガーランドやボブ・ディラン、ジェームス・ブラウンの伴奏者も務めたり、シンフォニー・オーケストラのコントラバス奏者としての仕事もしていた。80年代に臨床心理学の博士号をとり、一時そちらの仕事に専念していた。その後、音楽活動も再開、ハービー・ハンコック、ラヴィ・コルトレーンのバンドなどのツアーに参加。2000年にはディヴィッド・マレイ・オール・スターズのメンバーとしてヨーロッパをツアーしたが、近年は地元で音楽活動を行う他、カレッジで後進の指導にもあたっていた。リーダー作は『Life』(Black Saint)など。

追悼記事はWashington Post , Los Angeles Times , The Independentなどに掲載された。
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by kazuey1113 | 2007-08-18 10:42 | obituary

訃報:マックス・ローチ

マックス・ローチが8月16日に亡くなった。83歳だった。モダン・ジャズ・ドラミングを完成させた類い希な名手でありながら、70年代後半にセシル・テイラーやアンソニー・ブラクストンと共演したフリージャズのレコードもあるように、その演奏の幅は広かった。ディジー・ガレスピーやチャーりー・パーカーとの共演、クリフォード・ブラウンとの双頭バンド、『サキソフォン・コロッサス』をはじめとするソニー・ロリンズとの諸作、公民権運動時代の『ウイ・インシスト!』などの録音、70年代に結成したパーカッション・オーケストラ”ウン・ブーム”等々、時代の節目節目で歴史に残る録音がある。合掌。

The New York Timesの追悼記事はコチラ>>>
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by kazuey1113 | 2007-08-18 00:10 | obituary
c0098087_1225316.jpg高瀬アキのニュー・リリースは、オーネット・コールマンの初期作品集。昨年帰国した際、高瀬は新宿ピットインでのライヴで林栄一、井野信義とオーネット・コールマン作品を演奏したが、以前から高瀬は同じくベルリンに住むジルケ・エバーハルトとのデュオでオーネット・コールマンの初期作品に取り組んでいた。その成果が2枚組の『Aki Takase, Silke Eberhard/Ornette Coleman Anthology』(Intakt CD 129)。高瀬の自由な即興演奏を引き出す編曲も秀逸だが、エバーハルトの才気とチャレンジ精神がいい!

昨年グラミー賞の特別功労賞、今年はピューリッツァー賞音楽賞The Jazz Journalist Associationの年間最優秀ミュージシャン、最優秀アルバム、最優秀アルトサックス奏者、最優秀スモール・アンサンブル・グループの4部門を受賞し、一機にその評価が上がったオーネット・コールマン。若き日、ドン・チェリーやチャーリー・ヘイデンらとのユニットで創りだしたサウンドは全くもって独創的なものだったが。それを今日の音楽として高瀬とエバーハルトは新しい息吹を吹き込んだのだ。

CD Review @jazztokyoコチラ>>>
Intakt RecordsのHPからも直接購入できる。
詳しくはHPで:http://www.intaktrec.ch/

高瀬アキは10月から11月にかけて帰国し、日本国内をツアーする。
詳しい情報はコチラ>>>
↑公演情報は新しい情報が入り次第随時更新される予定
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by kazuey1113 | 2007-08-15 13:17 | new release
8月6日の記事の続報。
ポール・ラザフォードの追悼記事が8月10日付けのThe Guardianに掲載されていた。亡くなったのは8月5日。享年67歳だった。ご冥福を祈ります。
コチラ>>>
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by kazuey1113 | 2007-08-10 19:44 | obituary
c0098087_2393965.jpgたった今、ポール・ラザフォードが亡くなったというメールあり。イギリスのフリー・ミュージック第一世代のトロンボーン奏者で、グローブ・ユニティ・オーケストラ(GUO)、ロンドン・ジャズ・コンポーザース・オーケストラ、Iskra1903、ベルリン・コンテンポラリー・ジャズ・オーケストラ(BCJO)のメンバーでもあった。日本にはBCJO、またフリー・ドラマー豊住芳三郎の招聘で来日している。詳細は入り次第追って。合掌詳細は情報を入手次第追って。合掌。

写真は昨年2006年11月ベルリンジャズ祭にグローブ・ユニティ・オーケストラで出演した時のもの。(c)2006 Kazue Yokoi
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by kazuey1113 | 2007-08-06 23:09 | obituary
c0098087_20274940.jpg藤井郷子と田村夏樹が活動拠点をニューヨークから東京に移して早いもので10年になるという。節目となる今秋、帰国コンサートを行った新宿のシアターモリエールで「帰国10周年コンサート」を10月24日に開催。全く異なったコンセプトの3つのバンド、ガトー・リブレ、藤井郷子カルテット、藤井郷子オーケストラ東京による10年先を見据えた演奏が聴けるに違いない。


日時:10月24日(水) 開場18:00 開演18:30
場所:新宿シアターモリエール
住所:東京都新宿区新宿3-33-10 モリエールビル2F
料金:前売4000円(特別コンピレーションCDR付) 当日5000円
問い合わせ:Suika Music suika@krc.biglobe.ne.jp
http://www2s.biglobe.ne.jp/~Libra/index_j.html

c0098087_21504419.jpgその10周年記念アルバムとして『藤井郷子カルテット/バッカス』がMuzakよりリリースされた。多作な藤井・田村であるが、このバンドでの録音は久しぶり。メンバーは藤井、田村、早川岳晴(b)、吉田達也(ds)。この4人のキャラクターがより明確に現れた快作だ。吉田の変拍子ドラミングといい、脱ジャンル的なアプローチで、ベースとドラムスが変わると同じカルテット編成でも藤井4(ベースはマーク・ドレッサー、ドラムスはジム・ブラック)とは音楽性も大きく異なっているのが面白い。このカルテットの1st、2ndアルバムのタイトルもまたローマ神話の神々の名前だったが、この神様がこのバンドには一番ぴったり合うような気がする。
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by kazuey1113 | 2007-08-06 22:59 | informaion
最近、文化人の訃報が多いと思っていたら、今日の朝刊にはミケランジェロ・アントニオーニの訃報が出ていた。多少は映画に興味がある中年世代以上なら、このイタリア映画界の巨匠の名前はご存知だろう。
朝日新聞の記事はコチラ>>>

だが、彼とイタリア・ジャズ界のマエストロ、ジョルジォ・ガスリーニに少なからず運命的な出会いがあったことを知る人はほとんどいない。

以下、ジャズ批評78号に掲載した拙文より。

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「『テンポ・エ・レラヂオーネ』(ガスリーニが50年代に12音音楽とジャズ言語を統合させた音楽を創ろうとヨーロッパで最初に試みたグループによるレコード)を聞いたジョン・ルイスは熱狂して、アメリカに来ないかと言ってきた。時を同じくして、このレコードを聴いたマルチェロ・マストロヤンニは、それをアントニオーニに渡した。。そして、アントニオーニから映画『夜』の音楽を作曲するため来てほしいとの依頼があり、私は天命に従った」

この映画『夜』はアントニオーニの代表作の一つで数々の賞を獲得している。アルベルト・モラヴィアは、こう讃えている。「新たな現実感からは当然新たな表現様式が生まれ出る。アントニオーニはスクリーン上に、おそらくイタリアでははじめて、現代の小説と詩に固有の手法とイメージを現出させた。『夜』のあるシークエンスはこうしてひと目見ただけでおおかたの”語り”の映画とネオ・リアリズモ映画を色あせたものにしたのである」。ガスリーニの映画音楽もまた、イタリア銀リボン音楽賞を獲得した。

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世界中の国々で演奏活動をしてきたマエストロ、ガスリーニが日本で演奏のために来日したのはただ一回だけ。イタリア年だった2001年に来日し、横濱ジャズプロムナード他でのソロ・ピアノで演奏したのみである。演目はアルバート・アイラーやサン・ラ作品など。その時のインテレチュアルでありながらも深く深くジャズの歴史を深く読み込み、それをリスペクトするココロがよく現れたプレイは今なお記憶に残っている。ガスリーニとの出会いは、メールス・フェスティヴァルのバックステージ。カメラバックを肩にウロウロしていたら声をかけられたのが最初である。彼は当時メンバーだったイタリアン・インスタビレ・オーケストラで出演していたのだ。縁は異なもので、翌年韓国で仕事の途中日本に立ち寄った際に話を聞くことができたのだ。奇しくもこれが私の最初の外国人ミュージシャンへのインタビューとなった。90年代も始まったばかりの頃の話である。マエストロももう78歳。所有していた蔵書や楽譜の類はしかるべきところに寄贈したが、音楽家としてはまだ現役。これからもずっと元気に可能な限り音楽活動を続けてほしいと願うばかりである。
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by kazuey1113 | 2007-08-01 20:15 | column