横井一江のブログ "jazz,improvised music...and beyond"


by kazuey1113

閑話休題

ヒートアイランドから脱出して北海道で休暇、と書けば優雅に聞こえるが、単なるお盆の帰省(墓参り&親不孝というツケをまとめて少しだけ精算)。航空運賃が上がっているのは折り込み済み(とはいえ海外旅行より高いというのが許し難い)としても、実家の近所のスーパーで魚の値段を見て目を疑った。キンキ一尾が2980円、カレイの類(おいしそうだったが)一尾3980円。それだけではない。サンマが一尾98円もする…。これも原油高のあおりなのか、漁業資源の問題なのか、その両方なのか、普段こういうことには疎い私にはわかりかねるが、トンデモないことになっている。なぜなら、サンマはもちろんキンキもカレイも贅沢な食べ物ではなかったからだ。それもこれも元を辿っていけば新自由主義の弊害ではないのか。食品という人間の生存にかかわる、しかも庶民のささやかな食の楽しみにまでそれが影響しているとしたら…、いいかげん政治に無関心でいるわけにはいかないだろう。

c0098087_19222261.jpg東京はあまりにも暑くて、頭がちっとも動かない。ところが、飛行機に乗ったとたんすべてが回復した。昨今は読書といっても資料になる本を読むのがほとんど。それを離れてという何かを読むということは激減している。そんな中で読んだのは赤塚若樹著『シュヴァンクマイエルとチェコ・アート』(未知谷)。著者はミラン・クンデラについて分厚い本も書いているが、現在「夜のポエティズム」と題したアニメーション講座をアップリンク・ファクトりーで連続して行っている人物。私的には、シュヴァンクマイエルの名前こそ知っているものの、クエイ兄弟に影響を与えたとか有名な映画を知るのみ。ましてやチェコのシュルレアリズムと言われても…。そうはいいつつ、チェコのアニメは有名だったよね、とか。点が線になり、面に広がっていくのは楽しい。チェコ・アートやアニメーションだけではなくシュルレアリズムに興味のある人には楽しめる本だと思う。

ところでチェコのジャズは?とつい職業病が。帰りの飛行機の中で読み直していたトニー・ジャッド著『ヨーロッパ戦後史(上)』(みすず書房)のとある補注に引っかかったせいもある。
「ジャズが周縁的存在にすぎなかったことを強調してもよいだろう。60年代アメリカ・フォーク・ミュージックと同じで、ジャズが好きでそのレコードを買う人は西ヨーロッパでがごく少数だった。通常は学歴が高く、ブルジョアかボヘミアン(あるいはその両方)で、ロックロール・ファンの平均より高年齢だった。東ヨーロッパの状況は少しちがっていた。こちらではジャズはアメリカ的で黒人的、したがってエキゾチックで破壊的、西側のものではあってもラジカルで、西側では感じられない興奮を伝えていた」
ジャッドの本にとってはこんな補注など非常に些末なことなのだが、その論拠は?と気になる。ジャッドは歴史家だが音楽に特に通じているわけではないだろう。しかし、このような書く以上、それなりのわけがあるに違いない。ジャズ好きがブルジョアかボヘミアンということはともかく、興味深いのは東欧の状況については記述なのだ。ジャズの受容状況は国や地域によって違うのは当たり前だが、それについて言及されることは非常に少なかったと思う。たかがジャズ、されどジャズ、やっぱり奥深いのだ。

ちなみに北海道のお土産はやはり六花亭のマルセイバターサンドにしてしまった。これは全くのクリシエである。しかし、発売当初はこんなヒット商品になるとは思わなかった。いつぞや開拓時代晩成社が作ったバター「マルセイバタ」と同じ製法で造ったバターを限定販売していたように記憶していたが、数ヶ月前はバターも不足がちだったというこのご時世、やはり売っている筈がなかった。

東京へ戻ると、エアコン不要の環境で過ごした数日は天国だった気がする。夜はもう秋の虫のポリフォニーが聞こえていたし…。
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by kazuey1113 | 2008-08-17 20:49 | misc.