横井一江のブログ "jazz,improvised music...and beyond"


by kazuey1113

補足:UNERHOERT! ローカルな視点でのフェスティヴァル

2002年にスタートしたUNERHOERT!がどういうフェスティヴァルなのか、昨日書いたことの補足も兼ねて簡単に書いておこう。

基本的に小規模(といっても聴衆は数百人規模)ながらもインターナショナルなフェスティヴァルであり、現代のジャズ、新しい表現者たち、新しいムーヴメントにスポットを当て、世界的に活躍しているミュージシャンを招いている。これは世界中あちこちにある同種のインターナショナル・フェスティヴァルとほぼ同じだ。かつてのメールス・ジャズ祭のように特にアンテナとなるフェスティヴァルというわけではない。しかし、トップクラスのミュージシャンをフェスティヴァルに招くということは単に音楽の紹介ということにとどまらず、ローカル・ミュージック・シーンに刺激を与え、ネットワークを作るためにも有効だとパトリック・ランドルトは考えているのだ。

関連プログラムとして、出演グループのひとつ、ルカス・ニグリのバンド”ズーム”は学校でも演奏し、グレン・フェリスのワークショップも行われた。そしてまた、フェスティヴァルではバリー・ガイの指揮の下でルツェルンの音楽大学の学生バンドが彼の作品≪ハーモス≫を演奏。これはフェスティヴァルで取り上げるような音楽を若い世代(高校生や大学生)にも聴いてほしいと考えているからなのである。このような企画を続けていることが効を奏したのか、大ベテラン勢の演奏でも若い人がかなり来ていた。

招待されたミュージシャンと地元のミュージシャンとのコラボレーションも毎年行われている。この年はオリバー・レイク、アンドリュー・シリル。また、ペーター・ブロッツマンもチューリッヒのミュージシャンとのユニットで出演していた。地元勢が出るとまた違った盛り上がり方をするのが面白い。また、若手ローカル・ミュージシャンのバンドも出演させている。それだけではなく、フェスティヴァルの運営面でも地元のミュージシャンがいろいろ協力しているという。

地域のジャズクラブ”ムーズ”やローテ・ファブリーク、また学校や老人施設とも協力して、ファン層、コミュニティを拡大していきたいという考えのようだ。それも開かれたものとして。

見た目はよくあるインターナショナル・フェスティヴァルなのだが、それをチューリッヒというローカルの中で位置づけ、ローカルに目線を置いた関連プログラムなどを組み込んでいるところに特色があるのだ。そこにパトリック・ランドルトをはじめとする主催者の戦略があることは言うまでもない。
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by kazuey1113 | 2008-04-09 20:40 | column