横井一江のブログ "jazz,improvised music...and beyond"


by kazuey1113

『高瀬アキ/サムシング・スウィート、サムシング・テンダー』

c0098087_824175.jpgベスト盤シーズンだからではないが、2007年に出たピアノ・アルバムで一番気に入ったのが『高瀬アキ/サムシング・スウィート、サムシング・テンダー』(enjaコロムビア)。一曲目の≪クレプスキュール・ウィズ・ネリー≫はヴァリエーションにして演奏。高瀬のインテリジェンスとピアニストとしてのキャラクターが出ていて、セロニアス・モンク作品へのこういう回答もあったのかと感心した。カラー・ブレイ、エリック・ドルフィー、オーネット・コールマンの作品にしても、テーマから即興への流れの中で、作品の中に潜んでいた音が立ち現れて、作曲家と高瀬が二重写しになっている。高瀬自身の作品は一種の短編集だ。個人的に最も興味深かったのは、アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハの≪グローブ・ユニティ≫。1966年にベルリンジャズ祭でオーケストラで演奏され、センセーションを起こした作品である。それがピアノ・ソロで弾かれると彼らの演奏のX線写真を見るようで面白い。最後に昨年亡くなった詩人・ジャズ評論家だった清水俊彦に捧げた曲は≪蛍の光≫となってフェイド・アウトする。今の高瀬は世界でも最も創造的なピアニストの一人と言っていい。そのピアニズムを堪能できる作品だ。
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by kazuey1113 | 2008-01-03 08:39 | new release