横井一江のブログ "jazz,improvised music...and beyond"


by kazuey1113

ミケランジェロ・アントニオーニに訃報に接して、ジョルジォ・ガスリーニのことを

最近、文化人の訃報が多いと思っていたら、今日の朝刊にはミケランジェロ・アントニオーニの訃報が出ていた。多少は映画に興味がある中年世代以上なら、このイタリア映画界の巨匠の名前はご存知だろう。
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だが、彼とイタリア・ジャズ界のマエストロ、ジョルジォ・ガスリーニに少なからず運命的な出会いがあったことを知る人はほとんどいない。

以下、ジャズ批評78号に掲載した拙文より。

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「『テンポ・エ・レラヂオーネ』(ガスリーニが50年代に12音音楽とジャズ言語を統合させた音楽を創ろうとヨーロッパで最初に試みたグループによるレコード)を聞いたジョン・ルイスは熱狂して、アメリカに来ないかと言ってきた。時を同じくして、このレコードを聴いたマルチェロ・マストロヤンニは、それをアントニオーニに渡した。。そして、アントニオーニから映画『夜』の音楽を作曲するため来てほしいとの依頼があり、私は天命に従った」

この映画『夜』はアントニオーニの代表作の一つで数々の賞を獲得している。アルベルト・モラヴィアは、こう讃えている。「新たな現実感からは当然新たな表現様式が生まれ出る。アントニオーニはスクリーン上に、おそらくイタリアでははじめて、現代の小説と詩に固有の手法とイメージを現出させた。『夜』のあるシークエンスはこうしてひと目見ただけでおおかたの”語り”の映画とネオ・リアリズモ映画を色あせたものにしたのである」。ガスリーニの映画音楽もまた、イタリア銀リボン音楽賞を獲得した。

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世界中の国々で演奏活動をしてきたマエストロ、ガスリーニが日本で演奏のために来日したのはただ一回だけ。イタリア年だった2001年に来日し、横濱ジャズプロムナード他でのソロ・ピアノで演奏したのみである。演目はアルバート・アイラーやサン・ラ作品など。その時のインテレチュアルでありながらも深く深くジャズの歴史を深く読み込み、それをリスペクトするココロがよく現れたプレイは今なお記憶に残っている。ガスリーニとの出会いは、メールス・フェスティヴァルのバックステージ。カメラバックを肩にウロウロしていたら声をかけられたのが最初である。彼は当時メンバーだったイタリアン・インスタビレ・オーケストラで出演していたのだ。縁は異なもので、翌年韓国で仕事の途中日本に立ち寄った際に話を聞くことができたのだ。奇しくもこれが私の最初の外国人ミュージシャンへのインタビューとなった。90年代も始まったばかりの頃の話である。マエストロももう78歳。所有していた蔵書や楽譜の類はしかるべきところに寄贈したが、音楽家としてはまだ現役。これからもずっと元気に可能な限り音楽活動を続けてほしいと願うばかりである。
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by kazuey1113 | 2007-08-01 20:15 | column