横井一江のブログ "jazz,improvised music...and beyond"


by kazuey1113

フィリップ・カルル

フィリップ・カルルはフランスのジャズ評論家。日本でよく知られている著書は『ジャズ・フリー』(晶文社 ジャン=ルイ・コモリとの共著)ぐらいだが、ジャズ・マガジン編集長も務めている重鎮である。カルルはラジオフランスに番組を持っているが、さる人のページで知ったその最新のストリーミングを聴いて感心した。フランス大統領選挙の決選投票を5月6日に控えたフランスだが、こういうコミットメントの仕方もあるのかと。ビック・ビル・ブルーンジー、デューク・エリントンからフランソワ・テュスク、イヴ・ロベールまで、この絶妙な選曲は、古のジャズ、ブルースから現代のコンテンポラリーなものまで知っている彼ならではのもの。そこに彼の政治的スタンスが明確に現れているのがスゴイ。膨大なレコーディングの中からよく見つけてきたものだと感心するばかり。政治を音楽で語ることには必ずしも賛成はしないが、音楽は政治とは無縁ではない。ましてやヨーロッパでは。日本でも市場経済はインデペンデントなアート・シーンに忍び寄っており、ジェントリフィケーションはクリエィテヴなアーティストの居場所を奪おうとしている。統一地方選挙の前にこれを知るべきだったのか。我々はあまりにも政治や社会に無関心ではないのか、と。アルバート・アイラーの叫びに今またリアリティを見いだし、ブリジット・フォンテーヌの抒情的な中に過激さを秘めた声に再び観応し、ジプシーであるジャンゴ・ラインハルトの《La Marseillaise》を深読みする。

興味のある人はコチラ
(フランス時間4月28日=日本時間4月29日早朝まで聞ける筈)
プレイリストはコチラ

イスラエルの詩人イェフダ・アミハイはこう言った。
「わたしは、いわゆる政治的にコミットしている詩と、そうでない詩をわけることはしません。どんな詩も政治的です。たとえ詩を書くために、いわゆる象牙の塔に逃げ込んだとしても、それもひとつの政治態度の表明です。それは「わたしは関心がない」ということで、関心がないということもまた、政治的です。人生には中立などというものはありません。良いか、悪いかは別にして、中立も政治的態度の表明です」。
(1993年来日時の「詩の朗読の夕べ」での質疑応答から。日本語訳は『へるめす1993 No.44』による)
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by kazuey1113 | 2007-04-26 20:05 | column