横井一江のブログ "jazz,improvised music...and beyond"


by kazuey1113

Tonic 続報

ニューヨークのTonicは昨日、4月13日に閉店したが、マーク・リボーやレベッカ・ムーアを中心にしたミュージシャンらが、4月14日午前11時から閉鎖された後の Tonic を不法占拠して24時間に渡るマラソン・ライヴを企画。彼らを取り巻く状況に対する危惧をメディアに訴えかけるための行動だ。
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Tonicの閉店は、単にニューヨークのダウンタウン・シーンやアンダーグラウンド音楽のニュースというだけではなく、市場経済が実験的・先鋭的な音楽、アート・シーンに少なからぬ影響を与えている象徴的な出来事に思える。この数年、ヨーロッパでもクリエイティヴな音楽シーンを取り巻く状況が厳しくなってきていることは、ヨーロッパ在住のミュージシャンと話をする度に聞かされている。その背景にはヨーロッパでも市場経済の波がじんわり押し寄せてきていることがあるだろう。

Tonicが閉店するに至った直接的な原因ともいえる「ジェントリフィケーション(Gentrification)」。東京でも下北沢の再開発計画といい、都市再開発に伴いジェントリフィケーションが進もうとしており、まったく無縁の話ではない。音楽家や芸術家にとって場は重要である。ジャズにしろ、タンゴにしろ、都市の音楽の揺籃の地はいかがわしくも猥雑な地であったし、過去に芸術家が集まった街は家賃が安く、まだ無名の芸術家でも創作が可能な場所だった。ジェントリフィケーションの功罪はいろいろであるが、音楽・芸術シーンには少なからず負に作用する。歴史的にみてもモンマルトルでジェントリフィケーションが進んだ時に芸術家はそこを離れてモンパルナスに移り、SOHOの前衛的なギャラリーはチェルシーに逃げた。まだ移る場所があるうちはいい。市場経済による利益を追求する風潮、また貧富の差が拡大し二階層化が進行している現在、市場機構の外部にある創造の現場はどうなっていくのか。やはり当事者が声を上げるなり、アクションを起こさないと一歩も先へは進まない。
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by kazuey1113 | 2007-04-14 12:52 | informaion