横井一江のブログ "jazz,improvised music...and beyond"


by kazuey1113

備忘のために:音楽と録音メディアのこと

さっき音楽家の友人と話をしている時に、ずっとぼんやり考えていたことをまた口にしていたので、備忘のためにメモしておくことにする。

CDとライブ演奏のことだ。ジャズの場合、作品があっても即興部分がどうなるかまでは当たり前だけど書かれていない。往々にしてライブ演奏の時は、会場となるクラブなりコンサート・ホールと聴衆がつくる雰囲気のなかで、即興演奏部分がエモーショナルに広がり、それを楽しめる。また、即興部分が時間的にも長くなることが多い。反対にスタジオにおけるライヴでは、異なった緊張感の中におかれることもあり、もっと凝縮した形で現れるのではないかということ。

それをはっきりと感じたのは、ルイ・スクラヴィスの『ナポリの壁』だった。実際にベルリンジャズ祭でその演奏も見ていて、即興演奏部分での展開を楽しんだゆえに、CDには少々不満があったのだ。しかし、その後少し考え方が変わってきたのである。(CDについての記事はコチラ>>>

ライブにおいて、各自の即興演奏が自由に(時によっては思いもかけない方向で)展開する面白さ、それを大いに楽しんできたのだが、果たしてそれが音盤になった場合はどうなのだろう。その場にいるわけではないので、CDというメディアで聴く分にはお腹いっぱいになってしまうのではないのかなという気がするのだ。確かに昔からライブ・レコーディングというのは行われてきたし、臨場感を伝える名盤もある。

しかし、今では動画が配信されることも多い。そういうのを楽しむのは動画のほうが向いていると思う。なぜこんな話題になったのかというと仏独共同の文化チャンネルARTEのことが話題になったからである。少し前に開催されたフェスティヴァルJazzdor Strasbourg - Berlinのライブ画像はまるごとARTEのHPで観ることができる。(ブログ記事はこちら>>>

やはり、ライブの空気感や面白さはこのような動画のほうが伝わってくるのではないのだろうか。音質的に動画配信はCDよりも劣るが、映像がそれを補っている。音質までいうならば、DVD化ということもあるだろう。ネット上ではさまざまな音がアップされている。CDはライブの代換品としてではなく、もっと独立した作品として作られるべきではないか。となると、CD制作のためにスタジオで行う演奏はライブとは違っていていいし、クールな緊張感から引き出されるものがあるべきと最近思うようになったのである。

考えてみれば、ブルーノートなどに残されたモダンジャズの50年代から60年代の名演奏、それにしてもおそらくは実際にクラブで演奏されていた音とは違っているだろう。ついでにいえば、ルイ・アームストロングのホット・ファイヴ、ホット・セブンのホットさはあんなものではなかっただろうと想像するのである。この場合は録音技術のことがあるのでまた別の話になるのだが。

と、あくまで備忘のためのメモなので、そのうちまた考えが変わるかもしれないが…。私はかなり移り気な人間なのだ、とますます自覚する今日この頃である。
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by kazuey1113 | 2010-07-18 12:37 | misc.