横井一江のブログ "jazz,improvised music...and beyond"


by kazuey1113

『サキソフォン物語』マイケル・シーゲル著

c0098087_10402933.jpgジャズには欠かせない楽器のひとつ、サキソフォン。ベルギーのアドルフ・サックスによって考案されたのはたかだか百数十年前、西洋楽器の中でもっとも若い楽器にもかかわらず、ジャズだけではなく、クラシック、ブラスバンド、ポピュラー音楽までジャンルを超えて用いられている。マイケル・シーゲルの著書『サキソフォン物語』(諸岡敏行訳、青土社)は、サキソフォンの歴史を縦軸に、取材した数多くのサックス奏者たち、リー・コニッツ、フィル・ウッズ、ブランフォード・マルサリス、マイケル・ブレッカー、アーチー・シェップ、マリー・ロンデクス、クロード・ドラングルなどの言葉を織り込みながら、副題「悪魔の角笛からジャズの花形へ」とあるとおり、サキソフォンという楽器の他にはない魅力を多面的に伝える好著。著者のマイケル・シーゲルはアメリカのジャーナリスト・作家だが、彼自身その魔性の楽器に惹かれ、テナー・サックスを手にし、レッスンを受けるのだが、エピソードとして挟み込まれたその話(リード楽器を手にしたことのある人ならばウンウンと頷くことも多いだろう)がちょっとした箸休めになっている。

この本の原題は『The Devil's Horn: the story of saxophone, from noisy novelty to king of cool』なのだが、邦題には反映されなかった"from noisy novelty to king of cool"、これはジャズにも当てはまる言葉。サックス好きだけではなく、ジャズファンにとってもとても面白い読み物になっている。

ところで、ここにはペーター・ブロッツマンやエヴァン・パーカー、ジョン・ブッチャー、ミシェル・ドネダという人達は出てこないが(あたりまえかな)、シーゲルならばどのように位置づけるのか私的には興味があるのだ…。
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by kazuey1113 | 2010-06-05 11:05 | new release