横井一江のブログ "jazz,improvised music...and beyond"


by kazuey1113

ジャズと景気

ニュースで景気や雇用問題に関する話題が出ない日がないといっていい今日この頃、世界のどこでも、業種を問わず「こんなに景気が悪いのは今まで経験したことがない」とみんな言う。ある人と話をしていて、「これほどひどい不況は1929年以来なのでは」ということになった。だったら、誰も経験したことがなくて当たり前である。

ところで1929年ニューヨーク証券取引所の株価暴落に端を発した大恐慌時代は、どんなジャズが好まれていたのだろう。今までと違った視点で何冊か本をペラペラとめくってみた。1930年代前半はスウィートな音楽がダンス音楽として大衆に好まれたとある。好景気の中、ジャズ・エイジと呼ばれた1920年代に流行ったような(当時としては)刺激的でスピード感のある音楽を聴く気力が失われたに違いない。ニューディール政策によって回復基調になると、スウィング時代が到来する。「スウィングのたいへん有名な特徴は個々声部が集合体全体に貢献できるところにあるのだが、これまたローズヴェルトのアメリカ観の中心にある連合共和国という発想にぴったりと順応する」とデーヴィッド・W・ストウは『スウィング』に書いている。なかなか興味深い言葉だ。それはともかく、何か新鮮なものが求められたのだろう。ビッグ・バンド全盛ではあったが、素晴らしいソロイストが次々と出てきた。ビバップが流行った40年代は、第二次世界大戦による軍需によって経済も回復し、また大戦の勝利によって高揚した気分が、斬新なスタイルを受け入れる下地となったと考えられる。

暗い時代にはスウィートなものが好まれたというのはわかるが、果たして今の時代はどうなのだろうと、やぶにらみに見ている。先が見えない閉塞感というか暗い雰囲気が漂うが、こういう時代だからこそ音楽や芸術は必要だと思う。
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by kazuey1113 | 2009-01-18 22:24 | misc.